民泊はコロナ不況から脱したのか?民泊(住宅宿泊事業)を所管する観光庁の「住宅宿泊事業の届出住宅数の推移」によると、2021年2月8日時点で届出件数から事業廃止件数を差し引いた届出住宅(民泊施設)数が同1月12日に実施した前回調査よりも71件増加していることが分かった。
民泊の届出住宅数は2020年4月10日の2万1385件をピークに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大と第1次緊急事態宣言で減少に転じる。
同7月22日に旅行代金を割り引く政府の「Go To トラベル」キャンペーンが始まったのを受けて、同8月11日に対前月比59件増と一旦は持ち直した。が、翌月には再び減少。同11月10日に1万9901件と、2万件を割り込む。そして今月、6カ月ぶりに増加に転じたわけだ。
2021年2月5日までに民泊業のTAKE(札幌市)が事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。同社は2011年の設立で、主に不動産オーナーの物件を対象に民泊の運用・運営・管理サービスや宿泊コンサルティング業務、内装工事などを手がけていた。
しかし、コロナ禍で主力のインバウンド需要が消失して外国人宿泊客が激減したのに加え、国内宿泊客も2度目の緊急事態宣言で伸び悩み、経営が行き詰まった。負債総額は約1億5000万円の見通し。
地域別で最も民泊施設が減少したのは大阪市。2020年4月末に約1万1000件あった国家戦略特区法に基づく大阪市内の「特区民泊」が、同12月末までの8カ月間に1889件も減少して1万件を割り込んだ。主要顧客だったインバウンド宿泊者の激減が響いた。