ロレアル パリ、エッシー撤退の裏でコスメ業界の地殻変動が…

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日本の化粧品(コスメ)業界に、「新旧交代」の波が押し寄せている。日本ロレアル(東京都新宿区)は2021年5月31日、国内での「ロレアル パリ(L'OREAL PARIS)」のメイクアップ事業とネイルブランド「エッシー(ESSIE)」から年内に撤退する。毎日新聞電子版などが伝えた。「ロレアル パリ」のヘアケア・ヘアカラー事業は継続する。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により、化粧品需要が停滞する中での苦渋の決断だ。

低価格の新興ブランド人気が高まっている

「ロレアル パリ」は高品質ながらも比較的手ごろな価格帯で商品を展開し、年代を問わず人気があるコスメブランド。1969年に日本に上陸し、アイシャドーやアイブロウ、リップ、ファンデーションなどをバラエティーストアやドラッグストアで展開してきた。初めて購入したリップは「ロレアル パリ」というユーザーも多く、ブランド・ロイヤルティーの高いブランドだった。

撤退の理由はコロナ禍による販売減だけではない。国内コスメ市場ではエチュードハウス(ETUDE HOUSE)やスキンフード(SKINFOOD)、トニーモリー(TONY MOLY)といった韓国コスメ、ズーシー(ZEESEA)やファーシーツー(花西子)、パーフェクトダイアリー(PERFECT DIARY)などの中国コスメのブーム、ケイト(KATE)やエクセル(EXCEL)をはじめとする国産プチプラ(低価格)コスメブランドの台頭も大きく影響している。

特に韓国コスメは1000円以下の低価格で、高額なデパートコスメ並みの機能性があるため販売を伸ばしているという。韓国コスメを愛用するK-POPアイドル人気との相乗効果があり、YouTubeやインスタグラムなどのSNSを駆使したインフルエンサーマーケティングも巧みだ。新製品を投入する決断や行動も早く、移り変わりの早いSNSからニーズを探り、迅速に反映した商品も多い。

中国コスメや国産プチプラコスメブランドも、SNSマーケティングで韓国コスメに追随している。最近ではKATEの「リップモンスター」がSNSで人気を博し、店頭では品切れ状態が続いている。マスクをつけても色落ちせず、コロナ時代でもリップメイクを楽しめる点が若者に受け入れられた。

4月28日には資生堂が「ドルチェ&ガッバーナ ビューティ」のライセンス契約を一部解消すると発表、デパートを主戦場とする老舗コスメにとっては苦しい時代が続いている。化粧品業界の「地殻変動」により、資本力にものをいわせてデパートの目立つ売場(面)をおさえる「正規戦」のマーケティングが通用しなくなったことを意味する。

新興コスメの台頭は、SNSでインフルエンサーが推薦すれば無名ブランドが一夜にして品薄になる「ゲリラ戦」の販売手法に変化したことを示唆している。現代人の心をつかむコスメは、伝統ある老舗ブランドではなく、流行を素早くキャッチして直ちにニーズを反映できる新興ブランドへシフトしているのかもしれない。

文:M&A Online編集部

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