業績不振に陥っている大手書店、文教堂グループホールディングス(GHD)<9978>が上場廃止の危機をひとまず免れた。9月27日、事業再生ADR(裁判外紛争処理解決手続き)に基づく再生計画が金融機関の同意を得て成立。これに伴い、上場廃止の猶予期間が2020年8月31日まで1年間延びた。

ただ、出版不況で本業の書店事業の立て直しは容易ではなく、再建に向けて、いばらの道が待ち構える。

主力6行と日販、総額46億円を金融支援

再生計画の柱は株式の第三者割当増資を通じた総額46億6000万円の金融支援。みずほ、三井住友、横浜、三井住友信託、商工組合中央金庫、静岡銀行の主力6行が計41億1600万円について債務の株式化に応じる。この結果、文教堂GHDは金融機関からの借入金残高は60億円程度に約4割減少し、財務負担が軽減する。残りの借入金についても2025年8月末まで金利減免などの措置を受ける。

取次大手の日本出版販売は5億円を出資する。文教堂GHDはこれを原資として、老朽化した店舗のリニューアルなどの設備投資に充てる。日販は、出版在庫のかかる既存債務の一部支払いについて再延長を認めるなど資金繰りも支援する。

昨年10月から今年7月にかけて約30社のスポンサー企業の候補先に打診したものの、日販を除き、関心を示したところはなかったという。日販と並ぶ大株主の大日本印刷は新たな出資を拒んだ模様。

12月に行う第三者割当後、筆頭株主はみずほ銀行(持株比率約19%)となり、日販、三井住友銀行、横浜銀行が10%台で続く。

文教堂GHDは2018年8月期決算で約2億3000万円の債務超過に転落した。本来なら、1年後の19年8月期末までに債務超過を解消できないと上場廃止となるルール。だが、私的整理の一種であるADRを通じた再生計画案が金融機関の同意を得て成立すれば、1年間、猶予期間の延長が認められ、上場を維持したまま再建に取り組める。

文教堂GHDは6月末に、第三者機関の事業再生実務家協会(東京都)にADRを申請。数度の債権者会議を経て、再生計画案に主力6行が同意し、予定していた9月27日に成立にこぎつけた。東京証券取引所も同日、同社の再生計画を認めた。

来年8月末までに債務超過を解消へ

問題は計画通りに、2020年8月期末までに債務超過を解消し、再建の道筋を確固たるものにできるかだ。19年8月期は不採算店の閉店(約20店舗)などによるリストラ費用で赤字幅が拡大し、債務超過額は35億円に膨らむ見込み。

文教堂GHDはすでに本社移転や都内にある社宅の売却などを実施。早速、今回の再生計画に基づき、アニメキャラクターグッズ販売事業(アニメガ事業)をパソコン・ソフト販売のソフマップ(東京都)に譲渡することを決めた。

再生計画は明らかな縮小均衡型で、守勢が否めない。黒字定着を図る一方で、売上高は年々減り、2025年8月期には161億円(19年8月期見込245億円)に低下する計画を立てている。

出版不況、活路をどう見いだす?

実際、出版販売市場の長期低落は決定的だ。ピークだった1996年の推定販売額(書籍・雑誌計)2兆6000億円から、2017年には1兆3000億円に半減している。こうした状況下、生き残りへの展望をどう切り開いていくのか。

文教堂HDは1949年に川崎市で「島崎文教堂」として発足したのが始まり。東京、神奈川県など首都圏を中心に店舗を増やし(現在約130店舗)、1994年に店頭登録(現ジャスダック上場)した。今年は創業70年の節目。まさに創業的な出直しが求められている。

◎業績の推移(単位億円、20/8期は再生計画に基づく)

18/8期19/8期見込み20/8期計画
売上高273245207
営業利益△5.4△4.10.9
最終利益△5.9△33△0.8
純資産△2.3△359.9

文:M&A Online編集部