富士フイルムホールディングスによる米ゼロックスの買収が「破談」に終わった。これを好感して米ゼロックスの株価は上昇したが、今後は「いばらの道」だ。ペーパーレス化で業績低下に歯止めがかからない米ゼロックスはM&Aで窮地をしのごうとしているが…。
富士フイルムHホールディングスは米ゼロックスの買収を断念した。ゼロックスが買収合意を破棄して1年半にわたり対立が泥沼化していた。日本企業による海外M&Aの“誤算”は枚挙にいとまがない。過去の主な事例をピックアップする。
東証の「適時開示」ベースで、2018年上期の買収件数は283件。このうち日本企業による海外M&Aは47件。ただ、上期中2番目の大型案件である富士フイルムHDによる米ゼロックスの子会社化はゼロックス側大株主の反対などで事実上頓挫を来している。
米ゼロックスは3日、富士フイルムホールディングスによる買収計画を見直すとする大株主との和解案が失効したと発表した。和解案の合意を発表してわずか2日で白紙に戻る異例の展開だ。ジェフ・ジェイコブソンCEOら7人の経営陣は一転して留任することに。
富士フィルムホールディングスによる米ゼロックス買収劇を報じる主要メディアは、ざっと見る限り今回の買収がビジネス界に影響を及ぼすといった分析は少ない。多くは100年を超える同社の歴史を回顧し、「消滅やむなし」「栄光の過去」などと締めくくっている。
Xerox(ゼロックス)を英和辞典で調べると、他動詞で「~をコピーする」という意味が出てくる。複写機メーカーの代名詞ともなっている米ゼロックス社を富士フイルムホールディング<4901>が子会社化することを発表した。
富士フイルムホールディングスがついに米ゼロックス(コネチカット州)を買収する。事務機で世界トップに躍り出る。今回の大型M&Aは半世紀にわたる日米合弁事業の到達点であると同時に、新たな出発点にほかならない。