Q スナール会長は共同記者会見で「各々の企業文化とブランドを尊重していく」と明言している。それでも経営統合に踏み切ると言えるのか?
A ゴーン前会長は日産とルノーで持ち株会社を設立し、その事業子会社としてルノーと日産をそれぞれ置く経営統合を提案していた。そのやり方だとすれば「各々の企業文化とブランドを尊重」しつつ、経営統合が可能になる。ルノーにとっては「稼げる体質」の日産を吸収合併して「ルノー化」しては元も子もない。あくまで現在の日産のまま、支配下に置きたいのだ。ゴーン前会長の経営統合案やスナール会長の発言からは、そう受け取れる。
Q 結局、どちらが勝ったのか?
A ルノーが日産のメンツを保ちつつ、思い通りに事を進めている。どのみち日産は43.4%の株を持つ筆頭株主であるルノーの意向には逆らえない。株主の権利は強大であり、それが資本主義のルールだ。最初から勝負はついている。
Q ルノーと日産の経営統合は避けられないのか?
A 日産がどんなに強く「経営統合反対」を主張したところで、結局はルノーに抑え込まれるだけだ。日産も頑なに経営統合を拒否するのではなく、経営統合した後に持ち株会社で主導権を握る方向に転換した方がよい。日産の成長がルノーを上回れば、いずれ持ち株会社での主導権は回ってくる。そうなれば日産は独立性を取り戻すどころか、ルノーの経営も支配できるはずだ。いつまでも「守る」のではなく、「攻め」に転じたい。日産は「意識」を切り替える時期に来ている。
文:M&A Online編集部
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