働きたい個人と仕事を依頼したい企業をインターネット上でマッチングするクラウドソーシング。クラウドワークス<3900>は日本での先駆者として着実に実績を積み重ね、すでに東証マザーズへの上場も果たした。目指すは日本一のオンライン就業インフラの実現。シェアリングエコノミーの台頭や働き方改革のうねりの中で、出番はますます増えようとしている。創業者として同社を率いる吉田浩一郎社長に、将来に向けた企業像や成長戦略について聞いた。

クライアント数30万社、登録ユーザー250万人

ー2011年の会社設立以来、人材ミスマッチの解消を旗印に、クラウドソーシング分野に新風を吹き込んできました。

この分野は総合型と専門型がある。当社のサービスは総合型で、200種類以上の仕事が用意されている。秘書や翻訳、ベビーシッターなど特定の仕事に特化しているのが専門型。総合型として株式上場するのは日本で当社が唯一。

個人の力をあまり活用していなかった大企業が数多くクライアントになっている。トヨタ自動車、ホンダ、パナソニック、ソニー…。先んじて上場(2014年12月)したことは大企業の信頼を勝ち得えるうえで大きかった。次第に活用企業のすそ野が広がり、ワーカーの意識も変わってきたように思う。

2018年12月末時点でクライアント数は30万社、登録ユーザー数は250万人。こうした規模がもはや大きな差別化になっている。

ー日本では長らく、「大企業・正社員・終身雇用」という枠組みがある種のスタンダードでした。

実は、当社第2位の大株主は英国企業。英国での働き方は10人いれば、10人それぞれ契約形態が違う。本人のライフスタイルの中で多様な働き方を選ぶことが成熟社会では当たり前。日本はどうか。正社員以外は非正規。こうした言い方は従来の価値観にほかならない。これを我々は変えていく。

普通に企業で働いたくらいの年収をパソコンさえあれば、時間と場所にとらわれず、得られる世の中を実現したい。インターネット上に蓄積された個人の仕事の実績、信用のデータを活用することで有能な人材を活性化して人材のミスマッチを解消し、労働市場をアップデートしていきたい。

実際、全労働力の正社員比率は約50%。残りの半分のインフラを今後整備していく必要がある。

個人が主役の経済へ、イノベーションを担う

ーその具体的なイメージは。

「世界で最もたくさんの人に報酬を届ける会社になる」をビジョンに掲げている。従来は企業が従業員に給与を支払うというのが当たり前の姿。今後は個人が主役の経済に変わっていく。われわれはインターネットによってあらゆる個人に報酬を届けることがイノベーションと考えている。つまりインターネット上で届ける報酬額の最大化だ。

その金額で1兆7000億円を目指している。目安としているのがトヨタの連結従業員数(約37万人)と日本人の平均年収(約420万円)で、両者を掛け合わせると大体1兆7000億円。これに相当する報酬を届けることができれば、日本一の就業インフラであるトヨタをインターネットの力で超えることになる。

働き方の多様化を見据え、昨年7月には三菱UFJフィナンシャル・グループとクラウドマネーという会社を設立した。当社のサービスを通じて稼いだ報酬に応じて新たなに信用を付加して、クレジットカードを発行したり、ローンや保険が組めたりする仕組みづくりを進めるのが狙いだ。

時間と場所にとらわれず、報酬が得られる世の中を実現したい…と吉田さん