【財務内容】統合による効率化は道半ば、利益率低く

 新日本製鐵と住友金属工業の業績推移を見ると、リーマンショック前までは両社共に堅調に売上、利益を計上していることが分かる。特に住友金属工業の利益率は新日本製鐵を上回っており、2008年までのROEは20%前後で推移している。両社の自己資本比率は共に30%から40%の間で推移しており低位での推移となっている。

 2009年3月期決算以後のリーマンショックや欧州債務危機の影響が出はじめると、両社共に急速に経営状況も悪化している。特に2010年3月期は両社共に最終赤字を計上しており、世界的にもこれまで右肩上がりだった鉄鋼や自動車にも成長が鈍化するといった状況となった。

(新日鐵住金HP:IRライブラリ「決算情報」を基に作成)

 リーマンショックや欧州債務危機を経て、2012年に新日本製鉄と住友金属工業は統合し、コスト削減と共に資産の圧縮を目標に掲げてきた。統合効果は予想以上に早い段階で進み、新日鐵住金が2015年秋の達成をめどに進めてきた3千億円の資産圧縮計画が、1年半前倒しの2014年3月末に完了するなど予想を上回るシナジー効果を発揮した。また、アベノミクスによる円安・株高も追い風となり、保有株の売却が順調に進み、グループ全体で徹底している資金効率の改善も寄与した。株式の売却などで得た資金で有利子負債の削減も進み、課題だった資産のリストラも早期に目途が付いた。また、合併後の業績推移を見ると、2013年こそ赤字となっているものの、2014年以降、黒字化が定着している。しかし、課題としてはライバル企業よりも利益率が低いことが上げられる。

 利益率のベンチマークとしている、韓国ポスコは四半期ベースで5%前後の営業利益率を保っている。直近2016年(7~9月期)の新日鐵住金の3.7%より効率性や安定性で一歩先を行っている。両社ともに自動車向けの高級鋼板が得意で母国市場の基盤は強い。鋼材市況の低迷を映し、両社のPBR(株価純資産倍率)は解散価値を示す1倍を割り、新日鉄も約0.8倍と低迷が続く。中期経営計画で掲げている3年で海外利益を500億円上積みするという目標は早くも難しい状況となっており、規模拡大の機会をにらみながら、高付加価値の鋼材とコスト競争力に磨きをかける必要がある。