KAITEKI経営で持続的な発展を

 越智仁社長が掲げる「KAITEKI」とは、「時を越え、世代を超え、人と社会、そして地球の心地よさが続く状態」を表し、社会、地球の持続可能な発展に取り組むことを提案した三菱ケミカルHDグループのコンセプトのこと。この考えに基づいて行われるKAITEKI経営は「資本の効率化を重視しながら経済的価値向上を追求する経営」「経済的価値と社会的価値向上に資するイノベーション創出を追求する経営」「サステナビリティの向上を通して社会的価値向上を追求する経営」という3つの基軸を持つという。

様々なM&Aを実施

 M&Aに関しては3社合併が最も大きな案件であることに間違いはないが、3社の過去にも様々なM&Aがあった。主なものとしては、2008年に三菱レイヨンが世界最大手のメタクリル酸メチルのメーカーである英国のルーサイトを買収した案件がある。三菱レイヨンでは透明性や耐候性に優れたメタクリル酸メチルをコア事業と位置づけており、拡大策の一環として買収に踏み切った。ITや自動車向けに需要が増大しているほか、新興国の経済成長伴い用途が拡大する見込みにあるため、欧州での生産体制を整えるのが狙いだった。

 ほかにも2015年には三菱樹脂が農業用マルチフィルムを手がける、みかど化工を買収した。三菱樹脂の子会社が農業用の塩ビフィルムやポリオレフィンフィルムなどの農業資材事業を展開しており、両社の連携で最適な生産体制の確立や管理機能の統一などのシナジー効果を出していく。また、みかど化工が先行している中国事業についても協業を進め、中国市場の開拓に注力する計画だ。

 さらに三菱化学が2016年に行った日本合成化学工業の買収もあった。同社はすでに2009年に連結子会社となっており、公開買い付けで完全子会社化した。技術や顧客にかかわる情報を共同で効果的に活用し、三菱化学だけでなく三菱樹脂や三菱レイヨンとも連携し、設備投資や研究開発を効率化するのが重要と判断。公開買い付けに踏み切った。

三菱ケミカル(三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨン時代を含む)の主なM&A

発表日買収先買収企業
2002年11月12日 Japan Polychem Corporation 三菱化学
2003年1月8日 Schenectady Korea Ltd 三菱化学
2003年1月27日 MCB Corporation 三菱化学
2003年1月27日 Mitsubishi Chemical Foam Plastic Corporation 三菱化学
2004年2月23日 V-Tech Corporation 三菱化学
2005年9月25日 Echizen Polymer Co., Ltd 三菱化学
2006年5月10日 Mytex Polymers Inc. 三菱化学
2006年9月6日 Advanced Plastics Compound Co., Ltd 三菱化学
2008年11月11日 Lucite International Group Ltd 三菱レイヨン
2009年5月4日 Aquamit BV 三菱樹脂
2010年2月26日 Koninklijke DSM NV's Xantar polycarbonate business 三菱化学
2012年2月6日 ダイヤテックス 三菱樹脂
2012年2月6日 ジェイフィルム 三菱樹脂
2013年4月17日 Comtrex LLC 三菱ケミカル
2013年5月21日 Aquamit BV 三菱樹脂
2013年11月1日 ウェルシィ 三菱レイヨン
2014年7月31日 Wethje Holding GmbH 三菱レイヨン
2015年3月10日 みかど化工 三菱樹脂
2016年8月5日 日本合成化学工業 三菱化学
2017年1月10日 SCF三菱レイヨン
2017年3月9日 Gemini Composites 三菱レイヨン
2017年10月16日 CPC 三菱ケミカル