【オーケー】関東ローカルスーパーが関西連合に「待った」をかけた切実な理由

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かつてはM&Aで東北へ進出

関西スーパーは10月29日の臨時株主総会で、H2Oとの経営統合を決議する。ところが関西スーパーが棄権とみなされる白票を「賛成票」として集計したことが判明。これを除くと賛成率は65.71%と議決に必要な3分の2に届かない。オーケーは、そこを突いたのである。関西スーパーは、この仮処分を不服として異議申し立てをする見通しだ。

まさに「泥沼」の敵対的TOBの様相を呈しているが、関西スーパー側の主張にも一理ある。「薄利多売」の食品スーパーの場合、流通や仕入れのコスト削減が最も重要な課題になる。だから食品スーパーのほとんどは、一定のエリア内に集中出店する「ドミナント戦略」をとる。関西スーパーが関西資本のH2Oグループと経営統合するのも「もっともな話」なのだ。

一方、オーケーは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に133店舗(開店予定を含む)を展開している。食品スーパーとは取扱商品が異なるディスカウントスーパーであることに目をつぶっても、関西進出はドミナント戦略としては正しくない。事実、同社は1971年11月に仙台市の東京スーパーマーケットを買収して東北に進出した。一時は同市内に3店舗を展開したが、2020年5月に最後まで残った「オーケー 一番町店」を閉店。東北から撤退した。

宮城県には子会社のコンビニエンスストア「パンプキン」も進出したが、1994年9月に16店舗中7店をセブン-イレブン・ジャパンに譲渡、残る9店を閉鎖して完全撤退している。いずれもドミナント戦略の失敗だった。店舗密度が薄く、十分な利益を出せなかったのだ。

M&A Online編集部

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首都圏を地盤とするディスカウントスーパーのオーケー(神奈川県横浜市)は3日、関西スーパーマーケットが決めたエイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)傘下企業との経営統合について、同案を諮る臨時株主総会で反対票を投じると表明した。