【セブン&アイ・ホールディングス】総合小売業の旗を降ろしコンビニ事業に注力

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東京都千代田区の店舗

百貨店事業は売却しスーパーは縮小

こうしたコンビニ事業の拡充策と並行して、これまで目指してきた総合小売業としての体制の見直しを進める。すでに、傘下の百貨店「そごう・西武」(東京都豊島区)の全株式を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに譲渡することを決めた。

百貨店事業の発展とセブン&アイグループ各社との相乗効果を狙ったが、ここ数年はコロナ禍の影響で赤字経営が続いていた。売却は2023年2月に完了する予定だったが、交渉が長引いていることから2カ月ほど延期し、3月中に売却する予定だ。

これに先立つ2022年2月には総合スポーツ用品販売のオッシュマンズ・ジャパン(東京都千代田区)のエービーシー・マートへの売却を決めた。オッシュマンズ・ジャパンは米国OSHMAN'S SPORTING GOODS INC.とイトーヨーカ堂が業務提携し、イトーヨーカ堂グループのスポーツ分野の専門店業態を担う関連会社として事業を展開してきたが、事業構成の見直しに沿って売却に踏み切った。

こうした企業売却に加え2023年3月9日には総合スーパーのイトーヨーカ堂126店舗(2023年2月末時点)のうち14店舗の閉鎖を決めた。その後もイトーヨーカ堂と子会社の食料品中心のスーパーであるヨークとの統合などを進め、2026年2月末には93店舗まで削減する。合わせて自社で運営してきたアパレル事業からも撤退する。

Speedwayの取得で業績が急伸

セブン&アイは1920年に東京・浅草で洋品店「羊華堂」を開業したのが始まりで、2005年にセブン&アイ・ホールディングスがスタートし、同年にセブン‐イレブン・ジャパンが米国7‐Eleven, Inc.を完全子会社化したのを機に積極的にM&Aに取り組み、業容を拡大してきた経緯がある。

翌年の2006年には、そごう・西武、ヨークベニマルを完全子会社化したのをはじめ、2007年には赤ちゃん本舗を、2015年にはバーニーズ ジャパンを、2016年にはニッセンホールディングスをそれぞれ子会社化した。2021年にコンビニのSpeedwayを取得し業績が大きく伸びたことから、総合小売業の旗を降ろしコンビニ事業に集中する作戦に転換した。

セブン&アイ・ホールディングスの沿革と主なM&A
1920 東京・浅草で洋品店「羊華堂」を開業
1958 ヨーカ堂(現イトーヨーカ堂)を設立
1973 ヨークセブン(現セブン‐イレブン・ジャパン)を設立
2001 アイワイバンク銀行(現セブン銀行)を設立
2005 セブン&アイ・ホールディングスを設立
2005 米国7‐Eleven, Inc.を完全子会社化
2006 ミレニアムリテイリング(現そごう・西武)を完全子会社化
2006 ヨークベニマルを完全子会社化
2007 ロフトを子会社化
2007 赤ちゃん本舗を子会社化
2015 バーニーズ ジャパンを完全子会社化
2016 ニッセンホールディングスを完全子会社化
2021 米コンビニのSpeedwayを取得
2022 セブン‐イレブンが世界で8万店舗を突破

M&A Online編集部

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