【日新製糖】国内砂糖市場が縮小する中、2度目の経営統合を決断

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東京・日本橋小網町の本社で

国内の砂糖市場が縮小する中、業界再編が再び動きだした。業界首位の三井製糖が大日本明治製糖と経営統合して「DM三井製糖ホールディングス」を発足して1年余りだが、今回、主役を務めるのは2位グループの日新製糖。伊藤忠製糖(愛知県碧南市)と2023年1月1日に経営統合することで合意した。実は、日新製糖自身、業界再編の当事者となるのは2度目だ。

伊藤忠製糖と2023年1月に経営統合へ

日新製糖と伊藤忠製糖は6月10日、経営統合計画を発表した。2022年3月期の売上高は日新製糖460億円、伊藤忠製糖309億円と、両社単純合計で約760億円となる。DM三井製糖ホールディングスとは2倍近い開きがあるものの、追撃体制がひとまず整う。

経営統合は日新製糖が伊藤忠製糖を株式交換で完全子会社化すると同時に、日新製糖の事業を同名の事業承継会社に承継したうえで、持ち株会社に移行する。持ち株会社の名称、本店所在地、役員構成、株式交換などは今後協議して決める。

スケジュールによると、来年1月の統合実現に向けて9月に最終契約を交わし、11月に両社が開く臨時株主総会で承認を得る予定。

日新製糖は1950年に設立。「カップ印」のブランドで知られ、国内小売市場で約26%のシェアを持つ。現在、株式37%強を保有する住友商事が筆頭株主となっている。

「クルルマーク」の伊藤忠製糖(HPから)

一方、伊藤忠製糖は伊藤忠商事の全額出資子会社。1972年設立で、中部圏を地盤とする。「クルルマーク」のブランドで事業展開しているが、とくに業務用商品に強みを持つ。2002年には第一製糖(宮崎県日向市)を買収し、供給エリアを広げた。

製糖業界は人口減や低甘味・低カロリー嗜好による砂糖代替品の台頭といった国内市場の変化に加え、TPP(環太平洋連携協定)などによる国際的な競争が激化している。さらに足元ではウクライナ危機に端を発した原料調達コストの上昇にさらされている。

日新製糖と伊藤忠製糖は事業基盤の強化と経営効率化の必要性で一致。生産拠点や物流網、原料・資材調達をはじめ、これまで両社が培ってきた経営資源の集約・再配分を推し進める。また、砂糖にとどまらず、「食」と「健康」をテーマに成長分野の新商品・新事業の開拓を促進する構えだ。

2011年に新光製糖との統合を経験

日新製糖にとって今回の経営統合は2度目の経験となる。2011年にさかのぼる。住友商事子会社で関西を地盤とする新光製糖(当時、ジャスダック上場)と経営統合し、日新製糖ホールディングスを発足。ブランドも「カップ印」に統一した。2013年に持ち株会社を廃止したのに伴い、新生「日新製糖」がスタートし、今日にいたる。

実際のところ、当時も今回の場合も経営統合を決断した事情はほぼ同じ。国内の砂糖消費量は一貫して減り続けており、厳しい経営環境に変化はないからだ。

農林水産省が6月に発表した2021年度(砂糖年度は2021年10月~22年9月)の需給見通しによると、消費量は174万トン。1970年代まで年間290万トン前後で推移してきたが、清涼飲料水用を中心に異性化糖による代替が進んだことなどから、消費量が大きくダウン。2014年度に200万トン台を割り込み、以降も右肩下がりのままだ。

こうした中、いつ業界再編の波が再来してもおかしくない状況にあった。

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