【横浜ゴム】M&Aで「巨人」と「新興メーカー」に立ち向かう

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次なるM&Aは研究開発型企業狙い

次のM&Aのターゲットは研究開発型企業のようだ。同社は消費財タイヤで乗用車の燃費や走行能力などで高性能な製品開発に注力している。そのためにもM&Aを進め、技術の基礎固めを続ける方針だ。これはアジアの新興タイヤメーカーが急速に追い上げて来ているため。

「アジアのタイヤメーカーなど、安かろう悪かろうだろう」と甘く見てはいられない。低価格を維持したまま、品質や機能を向上しているのだ。欧州の高級乗用車メーカーですら、低グレードモデルには新興メーカーのタイヤを採用する動きが出ているという。生き馬の目を抜く消費財タイヤ市場では「中途半端」では生き残れないのだ。

とりわけ間近に迫った「自動車革命」の電気自動車(EV)シフトは、大きな潮目になる。「ガソリンやディーゼルなどのエンジン車であれ、EVであれタイヤを4本使うのは変わらないだろう」と悠長に構えていては、あっという間に出遅れる可能性があるのだ。

これから訪れるEVシフトも当初はバッテリー価格が高く、重量も重いため電池容量が制約を受ける。小容量の電池で航続距離を伸ばすためには、転がり抵抗の低減による電費性能改善が必須となる。カギとなるのはタイヤの軽量化に加えて、転がり抵抗の原因となる発熱を防ぐこと。

横浜ゴムはミドルクラスSUV(スポーツ多目的車)タイプのEV「BMW iX3」で新車装着タイヤの受注に成功した。これも同社の電費性能改善の技術力が評価されたからだ。同時に静粛性の高いEVに装着するため、タイヤプロファイル形状やパターン面の配列を専用設計し、加速通過音の低減も実現している。こうした高機能なEV専用タイヤを量産できるのは、世界でも数社程度という。

「BMW iX3」に採用された横浜ゴムのEV用タイヤ(BMWホームページより)

規模で劣るメーカーが競争を優位に進めるには、生産財タイヤのような自社にとってのニッチ市場へ進出するか、既存の消費財タイヤでより付加価値の高い製品を開発するかのいずれかになる。自社単独では二者択一を迫られる場面だが、M&Aであれば「両取り」が可能だ。横浜ゴムは、それを実行しようとしているのだ。

M&A Online編集部

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