【横浜ゴム】M&Aで「巨人」と「新興メーカー」に立ち向かう

alt

収益性の高い非乗用車向けタイヤ事業を買収

ATGは農業機械用タイヤに強く、世界的な人口増加による食料需要増や農業効率向上の観点から農業機械は市場拡大が見込まれ、農業機械用タイヤの需要増が期待できると判断した。タイヤ市場は乗用車用を中心とする「消費財」と、トラック、バス、農機用などの「生産財」に大別される。世界市場は消費財と生産財が半々だが、横浜ゴムは消費財と生産財の構成比が2:1となっている。

消費財である乗用車用タイヤは自動車メーカーからのコストダウン圧力が高い上に、アフターパーツ(後付)市場でもカー用品店の値下げ競争激化で価格が低迷している。現在主力の乗用車用タイヤだけでは大手競合タイヤメーカーとの競争で苦戦が予想されるため、価格が比較的安定している生産財タイヤの比率を引き上げて収益性の向上を目指す。

2017年に買収した愛知タイヤ工業も、そうした生産財タイヤメーカーの一つ。1961年に産業車両向けニューマチック型クッションタイヤ(ノーパンクタイヤ)の生産に乗り出し、フォークリフトなど産業車両用タイヤとして出荷している。ノーパンクタイヤでは国内最大手で、約30カ国に輸出するグローバル企業でもある。

2022年3月25日には農業機械・産業用タイヤを製造するスウェーデンのトレルボルグ・ホイール・システムズの全株式を取得し、子会社化すると発表した。取得価額は約2672億円(アドバイザリー費用約20億円を含む)。農機をはじめ鉱山車両、建設車両、林業機械用などの生産財タイヤ事業をグローバルに拡大するのが狙いで、2022年下期中に買収完了を見込む。

生産財の中でも、農機に代表されるOHT(オフハイウェイタイヤ)分野は収益力が高い。欧州大手のトレルボルグを傘下に取り込み、成長加速につなげる。景気に左右される乗用車向けの消費財タイヤに依存する体質では盤石な体制とは言えない。農機用や産機用などの生産財タイヤを手がける企業を傘下に入れ、次の収益の柱に育てる。

収益力が高い農機用などの生産財タイヤ(同社ホームページより)

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

有利子負債は1兆円超、マレリが事業再生ADRを申請

有利子負債は1兆円超、マレリが事業再生ADRを申請

2022-03-06

マレリホールディングスは3月1日、事業再生実務家協会に事業再生ADRを申請した。2020年12月期現在の有利子負債合計(単体)は1兆1707億9300万円。取引金融機関は約30。