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使用済み核燃料中間貯蔵施設の調査が始まる上関って、どんな町?

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「切り札」の上関原発が頓挫、そして…

ところが2011年3月に東日本大震災に伴う福島原子力発電所事故が発生して電力会社側にも原発の経営リスクが意識されるようになり、工事に向けた動きは中断されたままだ。そこで原発用地の有効利用策として浮上したのが、今回の中間貯蔵施設建設計画だ。

上関町の2023年度一般会計当初予算は対前年度比2.7%減32億4400万円と、3年連続で減少している。町は2023年2月、中国電力に地域振興策を要請し、その具体策として中間貯蔵施設建設が提示された。調査だけでも国から山口県と町に毎年計1億4000万円が交付され、施設稼働後は「核燃料税」の税収も期待できる。

自然に恵まれた上関町だが観光の目玉はなく、1974年のNHK朝の連続テレビ小説「鳩子の海」の舞台として知られる程度。同番組から施設名をとった日帰り温泉施設「上関海峡温泉 鳩子の湯」があるが、同施設の事業費9億5300万円のうち原発関連交付金が9割近い8億4000万円を占める。

原発関連交付金で建設された日帰り温泉施設「鳩子の湯」(同施設ホームページより)
原発関連交付金で建設された日帰り温泉施設「鳩子の湯」(同施設ホームページより)

このほかにも道の駅「上関海峡」(事業費3億2400万円、うち原発関連交付金2億500万円)、町総合文化センター(同10億6200万円、同9億1400万円)など、上関町の大型公共事業は原発関連交付金で支えられているのが現状。原子力関連の税収や補助金しか地域振興の財源を見込めないことが、上関町に中間貯蔵施設を呼び寄せたのだ。

文:M&A Online

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