豪雨で土砂崩れ「盛り土と知らなかった」で責任を回避できるか?

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土地所有者は土石流など土砂災害の責任をどこまで負うのか?(写真はイメージ)

静岡県熱海市の大規模な土石流で、起点となった土地に大量の盛り土があったことが明らかになった。この土地の所有者は「盛り土がされていたとは、今回のことが起きるまで知らなかった」と話しているという。仮に盛り土が土石流の原因と断定されたとしたら、土地所有者は「知らなかった」として責任を回避できるのだろうか。

「知らない」よりも「想定外」が責任の分かれ道

基本的に土砂崩れで被害が発生した場合、土地の所有者が責任を負う。結論としては、所有者が盛り土されていた事実を「知らなかった」としても、それで免責される可能性はほとんどない。

ただ、例外はある。豪雨が想定外の規模ーつまり発生が予見できないほど「異常」なものであった場合だ。新潟地裁長岡支部平成23年12月7日の判決では、総降水量427ミリという記録的な豪雨が崖崩れの原因として損害賠償責任が否定された。

盛り土をした土地を売却した不動産管理会社の関係者が「豪雨はこれまでもあったが崩れなかった」と自社の責任を否定したのも、異常気象による豪雨を原因とした方が訴訟で有利と知っているからだろう。とはいえ、今回の豪雨が想定外ではないと判断された場合、土地所有者は責任を回避できそうにない。

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