またも新たな変異株が発生した。新型コロナウイルスに「オミクロン株」が検出され、初めて確認されたアフリカ南部8か国への渡航制限が始まるなど、「デルタ株」騒動が落ち着きつつあった世界を再び緊張させている。もっとも「オミクロン株」の実態は、まだ解明されていない。「オミクロン株」の正体はともかくとして、そもそも「オミクロン」とは何か?
新型コロナの変異株については、WHOがギリシャ文字を割り当てている。これは「武漢ウイルス」や「インド株」といった発生地名をつけることが風評被害や差別、偏見を生むことから、意味のないギリシャ文字を割り当てた。英語の「A株」「B株」「C株」や日本語の「イ株」「ロ株」「ハ株」のようなものだ。
「オミクロン」の表記は「Ο」。アルファベットの「O」やロシア語などで使われるキリル文字の「О」の起源となった文字だ。ギリシャ語では15番目の文字となる。ならば「オミクロン株」は15番目の変異種なのか?実はそうでない。
一般に「オミクロン株」や「デルタ株」のように一般に知られている株名は、WHOがつけた「ラベル」だ。ラベルをつけられていない変異株も存在するが、これがWHOが「注目すべき変異株(VOI)」や「監視すべき変異株(VUM)」に指定しなかったから。つまり、人類の脅威になる可能性が低いと「見切られた」変異株だ。
このようにWHOがラベルを付けた変異株は「オミクロン株」までに13株で、2株足りない。実は2つのラベルが「欠番」として飛ばされたのだ。それは「オミクロン」の直前の「クサイ(xi)」と「ニュー(nu)」だ。つまり「クサイ株」と「ニュー株」は存在しない。