世間にはまだあまり浸透していないが、2018年のキーワードの一つが「明治150年」。1868年の明治元年から150年の節目を迎える。天皇陛下の退位のご意向に伴い、「平成」も30年で幕を閉じる方向となっており、新元号の行方とあいまって、2018年は歴史の大きな区切りとなりそうだ。
「明治150年」をめぐっては政府が早々に始動。2016年10月に内閣官房に「『明治150年』関連施策推進室」が発足し、各府省庁連絡会議も設置された。記念ロゴは今年8月末に決定した。
例えば、外務省は幕末から昭和にかけての外交資料をデジタルアーカイブとして紹介する計画を進めている。文部科学省は大学図書館所蔵の明治期のコレクションについての企画展示などを準備中だ。
明治維新を主導した薩長土肥(鹿児島、山口、高知、佐賀)の4県では共同観光キャーペンに乗り出した。10月には早稲田大学大隈記念講堂を起点に、東京都内の4県ゆかりの地を巡る「ウオーキングイベントを開催し、ムードを盛り上げた。政府は自治体のほか、民間企業にも「明治150年」への積極的な取り組みを働きかけている。
2018年のNHK大河ドラマでは「西郷(せご)どん」(林真理子原作)が始まる。
東京商工リサーチの調査によると、明治期に創業した企業は全国で2万1799社。都道府県別では、東京都が2494社と1割強を占め、大阪府1285社、愛知県1146社、新潟県856社、京都府820社と続く。新潟県が上位に位置するのはコメどころで酒造業が栄えたことを示している。
上場企業のうち、明治期に創業したのは約560社。日経平均はここへきてバブル崩壊後の最高値圏で推移している。ひっとしたら、「明治150年」が株式市場で材料視されて、関連銘柄が登場するかもしれない。
前回の「明治100年」(1968年)は高度経済成長の真っただ中で迎えた。この年、西ドイツ(当時)を抜いて世界第2位の経済大国に躍り出た。日本初の超高層ビル「霞が関ビル」(地上36階建て)が完成したのも同じ年。学生運動や公害、沖縄返還など大きな社会的問題を抱えながらも、今日より明日へ、希望を感じられる時代だったように見える。
来る「明治150年」をどういう心持ちで迎えたら良いのだろうか。
(文:M&A Online編集部)