「スピンオフ」の用語解説で、「スピンオフIPO」と混同した解釈をした記事をネット上で見かけるようになりました。東芝の再編が話題になっていることから、このような現象が起きているのかもしれません。
そこで改めて、「スピンオフ」について簡単に解説したいと思います。
「スピンオフ」は特定の事業部門や子会社を切り離して独立させる事業分離のスキームです。スピンオフされた会社の株式は、基本的にスピンオフ前の会社の株主が保有することになります。
会社法上の仕組みとしては、特定の事業部門をスピンオフする場合は会社分割の「新設分割」、完全子会社をスピンオフする場合は「現物配当」が活用されます。現物とは金銭以外の財産を指し、一般的には株式を割り当てます。
似た用語に「スピンアウト」がありますが、こちらは分離前の株主に対し、切り出した会社の株式を割り当てることはなく、株式は無関係の第三者に売却されます。
より専門的に知りたい方はこちらの記事をお読みください
・スピンオフを実施しやすくする税制改正とは?
・スピンオフ税制の新設、これによる企業再編・M&Aの新局面
「スピンオフIPO」とは文字通り「スピンオフ+新規上場(IPO)」のことです。あるグループ会社が運営している事業を別会社として分離し、切り離した会社の株式を既存株主に現物配当をしたうえで上場させます。これにより、スピンオフの対象となった事業はもとの運営会社とは資本関係のない独立した会社となります。
日本初のスピンオフ事例は、2020年1月に東証が承認したコシダカホールディングス<2157>によるカーブスホールディングス<7085>の新規上場です(分割実行日は2020年3月2日)。
スピンオフ事例はこちら
・日本初のスピンオフIPO!コシダカ株は買うべきか?
スピンオフは必ずしもIPOを伴わないことに注意しましょう。
文:M&A Online編集部
世間にはまだあまり浸透していないが、2018年のキーワードの一つが「明治150年」。1868年の明治元年から150年の節目を迎える。政府はしきりに旗を振るが、ムーブメントは起きるか