安倍晋三元首相の国葬の企画・演出業務に入札した唯一の会社で、当然ながら落札したムラヤマ(東京都江東区)。安倍元首相が主催した「桜を見る会」の会場設営業務を5年連続で落札したことでも注目されている。そのムラヤマ、一体どんな会社なのか?
ムラヤマの歴史は古い。創業は1902年というから、今年で創業120周年を迎える。大型イベントを手がける国内最大手の電通の祖業となる「日本広告」が設立された1年後に誕生した企業だ。ムラヤマは1906年に芝大門で日露戦争の凱旋門を制作したという。
もっとも日露戦争の凱旋門は日本全国で建設され、東京でも京橋や新宿、浅草、万世橋、日本橋などにあった。中でも有名だったのが、日比谷の巨大凱旋門だったとされる。凱旋門を手がけたとはいえ、当時のムラヤマが特に最大手のイベント企業だったわけではなかったようだ。
戦後はスポーツイベントに力を入れた。1952年に日本人初のボクシング世界チャンピオンとなった白井義男選手のリング設営や、1964年の東京五輪、2002年には日韓共同開催のサッカーワールドカップなどにも関わっている。
1966年にビートルズの来日公演のステージ設営、1970年に大阪万博、1990年にサンリオピューロランドの開設にも関与した。
2022年3月31日に大きな変化があった。日本テレビホールディング<9404>がムラヤマの親会社であるムラヤマホールディングス(東京都江東区)の全発行株式を取得した。取得価格は非公表。現在、ムラヤマは日本テレビの孫会社となっている。
日本テレビは自社のコンテンツ制作・イベント事業での企画・制作・運営力と、ムラヤマのスポーツイベントやアミューズメントなどの特殊内装や造形技術を融合することでシナジーを狙った。
日本テレビはコロナ禍をきっかけにインターネットの対極にある「リアル」の価値が見直されることを想定し、スポーツ観戦やコンサート鑑賞などのイベント事業の老舗を子会社に抱えるムラヤマホールディングスを買収したという。
文:M&A Online編集部
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