インドのユニコーン企業「OYO」がソフトバンク<9434>、ソフトバンク・ビジョン・ファンドとで合弁会社を設立し、日本でホテル事業を開始します。安さだけが武器の宿泊施設にとって、OYOは黒船ともいえる脅威です。なぜなら、数十万もの部屋を運営し、ビッグデータとAIを駆使して宿泊料金の徹底的な最適化を行っているからです。2013年に創業してすでに世界第6位のホテルチェーンにまで成長しました。

2019年2月にソフトバンク・ビジョン・ファンドなどから10億ドルの資金を調達し、企業価値は50億(5500億円)ドルのユニコーンとなっています。この記事は、短期間でそこまで成長したOYOの秘密に迫るものです。

リテシュ・アガルワル氏
真ん中がCEOのリテシュ・アガルワル氏(OYO公式ホームページより)


2023年に200万室を確保、マリオットを超えて世界一へ

OYOは大学を中退したリテシュ・アガルワル氏が、19歳で起業した会社。個人経営が多いインドの安宿は品質がバラバラで、ビジネスとして成立していないことに目をつけました。ホテルチェーンを立ち上げて、既存ホテルや建物のオーナーと契約し、集客システム、必要な人材の派遣、改装を行う対価として、ロイヤリティや収益分配を受け取るモデルを確立したのです。

設備投資をオーナーが負担する仕組みとしたため、大量出店を実現しました。それが急成長の一因になっています。しかしOYOの一番の特徴は、AI技術を活用した価格調整能力です。

同社の社員9,500人のうち、データ科学や人工知能などのIT技術者は700人。全社員の7%を占めています。

OYOは予約システムをアプリで内製化しています。アプリ経由の売上は65%。Booking.comなどの予約サイトにも掲載しており、各サイトで最適な料金を弾き出しています。AIは需要予測を行い、競合との比較を行いながら1日に4,300万回もの価格調整を行っているのです。

OYOダイナミックプライシング
ビッグデータの活用により価格調整の精度を上げる(画像はソフトバンク・グループ2019年3月期第1四半期決算説明資料より)


需要と供給に合わせて価格調整することを、ダイナミックプライシングと呼びます。日本ではメトロエンジンがシステムを提供しています。東急ホテルズが導入を決めましたが、OYOが狙う1泊5,000~10,000円のホテルへはまだ十分に普及していません。

OYOは2018年9月の段階で、全世界27万室を運営しています。2018年9月にイギリス、10月にアラブ首長国連邦とインドネシアに進出。ホテルチェーンのトップ、マリオット・インターナショナルの部屋数は128万室です。OYOは四半期の増加数が14万、マリオットが2万。同社は2023年までに200万室以上を確保し、世界一になる計画を立てています。

OYOは、すでに大量の(低価格帯の)部屋数データを自社で持っています。ダイナミックプライシングは、価格に敏感なユーザーが反応しやすい低価格ホテルで本領を発揮する分野。

自社で在庫(部屋)を抱え、データを蓄積・解析する専門部隊がいる。それがOYOの武器です。