人気テーマパークの華麗な買収アトラクション

1915年、ロサンゼルス郊外にあるサン・フェルナンドの養鶏場跡地に映画撮影所が作られた。そこでは1人25セントを支払えば、撮影所から提供される弁当を食べ、無声映画の撮影風景を見学することができた。現在、世界各地で膨大な顧客動員数を誇るユニバーサル・スタジオの原型が産声をあげた瞬間だ。

テーマパークは、巨額のマネーが動き、地域経済にも多大な影響を与える産業であるがゆえに、M&Aが絡むケースも少なくない。今回はそのようなテーマパークに関連するM&Aの変遷を追ってみたい。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの買収活劇

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン 公式HPより

「なにわ八百八桁」と言われるように、大阪では古くから河川や運河が発達し、渡船事業の歴史も江戸時代の貞享年間にまでさかのぼる。安治川沿いの天保山と桜島を結ぶ渡船場は明治38年に開設され、現在は無料で運営されている渡しの一つである。かつて軍需工場が存在し、さびれた工業地帯となっていた桜島周辺に1990年代終わり頃から外国人の姿が目に付くようになった。やがて、マウンテンバイクとともに渡し船に乗り込む外国人たちと同乗することが頻繁になっていく。彼らの正体は、2001年3月のユニバーサル・スタジオ・ジャパン開業に向け、アトラクションのリハーサルやレストランの開店準備をしている外国人クルーだった。

USJ開業当時から花形であったウォーターワールド、バックドラフト、ジュラシック・パーク・ザ・ライドなどのアトラクションは従来型の遊園地にはない魅力で好評を博し、開業後の数年間も新たなアトラクションに積極投資することで2007年3月の東証マザーズ上場への道筋が開かれた。しかし、上場した後の業績はさえなく、株価も低迷したままだった。そのため、上場後わずか2年後の2009年にはゴールドマン・サックスなどの協力を得てMBOを実施し、上場廃止の運びとなる。

上場廃止後には業績も回復し、来場者数は2009年度の770万人から2014年度には過去最高の1270万人と大幅に増加し、再上場への期待も高まっていった。しかし、2015年9月、米メディア大手であるコムキャストNBCユニバーサルが既存株主から発行済株式の51%を取得することが発表されたものの、肝心の再上場の話は立ち消えになってしまう。その背景には、過去に上場わずか2年でMBOを実施した経緯から、東証が再上場を了承しなかったことがあったのではないかと憶測されている。

2017年2月には、コムキャストNBCユニバーサルが、残り49%のUSJ株式をゴールドマン・サックスやUSJ前CEOグレン・ガンペル氏などから取得して100%保有することが発表された。これらの株式譲渡における取得価格は2015年の51%が15億ドル、2017年の49%が23億ドルとされる。ゴールドマン・サックスにとってはUSJへの投資に対するEXITと位置付けられる。

なお、アジア系PEファンドのMBKパートナーズもこれらのMBOに参画していたことについては、「投資ファンドによるM&A(上)日本市場でも存在感を示すプレイヤーたち(記事はこちらから)」でも触れている。