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【T&G】利益率向上に舵を切ったハウスウェディングのパイオニア

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利益率向上に舵を切ったハウスウェディングのパイオニア

 ハウスウェディングとは、一軒家の洋館や戸建てレストランなどを貸し切って挙式・披露宴を行うウェディングスタイル。株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ<4331>は、ブライダル業界に「ハウスウェディング」という市場をつくり出したパイオニアだ。1998年10月に設立され、2001年6月には直営形式のハウスウェディング事業を開始。2006年2月には、東京証券取引所市場第一部に上場を果たし、2017年3月期には連結売上高約600億円を達成した。まさに、ハウスウエディングの先駆者だが、どのようなM&Aを進めてきたのだろうか。

【企業概要】確固たる地位を確立したものの、踊り場を迎える市場

 テイクアンドギヴ・ニーズは、1998 年 10 月に野尻佳孝氏によって設立された。2020年には連結売上高1,000億円を目指す東証1部上場企業である。その事業の背景をここで概観しておこう。

 創業期以来、順調に売上高を伸ばしてきた同社だが、事業領域における日本国内の市場環境は楽観視できる状況ではない。厚生労働省の人口動態統計によると、すでに日本国内においては人口減少が進み、国立社会保障・人口問題研究所によると、下図のように、人口減少に伴い「婚姻組数が減少する」と推計されている。

人口推移:厚生労働省_平成29年「我が国の人口動態」婚姻組数推移:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2017年推計)」

  テイクアンドギヴ・ニーズにおいても、少子化を事業リスクと捉えている。直近の有価証券報告書の事業等のリスクにおいても「総務省統計局の調査等により、国内では少子化が進み、結婚適齢期にあたる男女が減少傾向にあることが示唆されており、中長期的には挙式披露宴市場が縮小する可能性もあります」という記載がある。

  では、挙式披露宴市場はどのような状況なのか、もう少し具体的に考察してみる。

矢野研究所_「ブライダル市場に関する調査を実施(2016年)」より作成リクルート「ゼクシィ 結婚トレンド調査2010-2016全国版及び首都圏版調べ」より作成

 上図のように、挙式披露宴・披露パーティー市場規模は、2010年には約1.5兆円あったものの、2016年には約1.4兆円まで減少している。人口及び婚姻組数と比例して、緩やかな減少傾向が見られる。また、ハウスウェディングは挙式会場として選択される割合が緩やかながら減少傾向にあるようである。

【経営陣】野尻佳孝氏と岩瀬賢治氏の2枚看板

 代表取締役会長は野尻佳孝氏。住友海上火災保険株式会社(現 三井住友海上火災保険株式会社)を経て、テイクアンドギヴ・ニーズの設立時に代表取締役社長に就任。2010年6月には代表取締役会長に。代表取締役社長の岩瀬賢治氏はホテル業出身。2002年にテイクアンドギヴ・ニーズに入社し、営業統括部長、ウェディング事業本部長など経て、代表取締役社長に就任。なお、両氏ともに、関連会社の会長・社長を兼務する。そのほか、取締役には谷田昌広氏、堀田和宣氏らがいる。

【株主構成】会長の野尻佳孝氏が2割弱を保有

 筆頭株主は会長の野尻佳孝氏。そのほか、金融機関や事業会社が並ぶ。

大株主名保有株式数(千株)保有株式割合(%)保有時価(百万円)
野尻佳孝 2,461 18.84 1,933.9
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 1,111 8.51 873.5
(株)東京ウェルズ 1,046 8.01 822.2
(株)ユニマットライフ 543 4.16 427
ウェルズ通商(株) 450 3.45 354.1
資産管理サービス信託銀行(証券投資信託口) 291 2.23 228.9
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 272 2.08 213.5
デイエフエイインターナショナルスモールキャップバリューポートフォリオ 236 1.8 184.8
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口5) 179 1.37 140.6
チェース・マンハッタン・バンクGTS(エスクロウ) 175 1.34 137.5

2017年3月時点、有価証券報告書を基にM&A Online編集部作成

【M&A戦略】既存事業の強化による利益率向上にフォーカスする

  テイクアンドギヴ・ニーズの主なM&Aは下表の通り。

年月主なM&A
2005.6 株式会社グッドラック・コーポレーションの第三者割当増資の引受(33.3%)。2007年4月には追加出資により91.8%へ
2008.5 連結子会社である株式会社パートナーエージェント(以下 PA)の全事業を、株式会社ドリームドア(なお、現在は、株式会社パートナーエージェントへ商号変更)(以下、ドリームドア)に譲渡
2012.4 般社団法人TAKE・ALLより有限会社TAKE・SECONDの発行済株式の全部を取得し、有限会社TAKE・SECONDを吸収合併
2012.12 株式会社ブライズワード(以下、ブライズワード)の株式を取得し、子会社化(56.32%)2013年3月末時点で100%子会社へ
2016.4 婚礼事業を行っている店舗のアーセンティア大使館(大阪)を、完全子会社である株式会社ブライズワードに承継させる会社分割(簡易吸収分割)を実施
2017.4 TRUNK HOTEL(東京都港区北青山)に関する事業の全てを完全子会社である株式会社 TRUNK に承継させる会社分割(簡易吸収分割)を実施
2017.11(予定) 平成 29 年 11 月1日をもって株式会社マリーゴールドより、婚礼衣裳のレンタル及び販売事業の一部を譲り受けることについて決議し、同社と契約を締結

M&A Online編集部作成

  2012年4月の有限会社TAKE・SECONDの株式取得及び吸収合併時のIRニュースによると、合併の目的は「グループ経営の効率化」としている。また、2016年4月実行のアーセンティア大使館の㈱ブライズワードへの吸収分割においても、当該目的を「運営効率の改善」としている。

  テイクアンドギヴ・ニーズにおいて、M&Aの実績はさほど多くはない。しかしながら、効率化により連結売上高総利益率の改善を目的として行ったM&Aは見事に結果を出している。そのことを鑑みると、M&Aの相手先の選球眼および課題解決手段としてのM&Aの使い方が非常に優れているといえるだろう。    

 さらに、2017年11月実行予定の、マリーゴールドからの関西エリアにおける婚礼衣装のレンタル及び販売事業の事業譲受も非常に興味深い。その目的を「装花やドレスなどの内製化」としているが、その内製化の目的は連結売上高総利益率の向上にある。

 有価証券報告書の売上原価明細書を見ると、内製化により売上原価のうち業務委託費の削減が可能であると考えられる。2017年3月期決算説明資料によると、都内、横浜エリアでドレス内製化率36.5%を達成し、2017年11月の事業譲受で関西エリアでのドレス内製化率80%とするとある。これにより2018年3月期以降において連結売上高総利益率はさらに向上すると考えられ、2018年3月期以降の業績結果が楽しみである。

 上記のように、テイクアンドギヴ・ニーズは既存事業の強化による利益率向上にフォーカスした経営を行ってきたことがわかった。

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