森トラストは2020年のオリンピック特需に向けて、猛烈な勢いでホテル開発を進めている企業の一つ。森トラスト・ホテルリート投資法人<3478>は開発したホテルを所有し、得られた収益を投資家に還元している会社です。同社はこの先18件ものホテル開発案件を抱えています。しかも、マリオットの最高級ブランド「エディション」やアジア初進出となる「タイムシェア・リゾート」など、高級物件ばかりです。

この記事は、決算資料を基に、開発を加速する同社の内情を調べたものです。主に以下の情報を得ることができます。

  • ①森トラスト・ホテルリート投資法人の借入金状況
  • ②開業予定のホテルの詳細                                 
赤坂2丁目プロジェクト
赤坂2丁目にもラグジュアリーホテルを開業

有利子負債比率は46.5%! ホテル系リートの中では最低水準

森トラスト・ホテルリート投資法人は、ホテル系リートの中では有利子負債が最も高い会社です。有利子負債比率(LTV)とは、総資産に対してどれだけ借り入れ(有利子負債)があるかを示した指標です。比率が低いほど、健全性が高いことを表しています。例えば、1億円の家を買うために、5000万円の借り入れをしたとしたら、有利子負債比率は50%となります。

有利子負債比率が高いと、以下のような傾向があります。

  • ①物件の取得・開発ペースが鈍る
  • ②増資を行う傾向が強まる

①と②は密接に関わっています。有利子負債比率が高い企業に対して、金融機関は積極的に貸付をしようとはしません。そのため、物件の取得・開発ペースが鈍ります。それでも開発の手を緩めず、資金を調達しようとすると、増資して資金を得ることが近道です。

一般的に増資は株式が希薄化するため、株価が下落する傾向があります。

さて、森トラスト・ホテルリート投資法人の有利子負債の合計額は495億円です。有利子負債比率は47.2%です。この数字だけ見ると、良いのか悪いのかわかりません。他のホテル系のリートと比べてみましょう。

企業有利子負債比率(LTV)
星野リゾート・リート35.0%
いちごホテルリート39.1%
ジャパン・ホテルリート39.9%
大江戸温泉リート42.2%
森トラスト・ホテルリート46.5%

JAPAN REIT銘柄ランキングより筆者作成

森トラスト・ホテルリートは、ホテル系の中では最も悪い結果に。40%台後半に差し掛かっており、安全性の限界値といわれる50%が視野に入っています。

借入金の金利は0.39%と極めて低い水準を維持

財務健全性が悪化しているようにも感じますが、決してそんなこともありません。それは借入金の金利に表れています。同社の平均利率は0.39%。2018年7月の時点で、リート全体の借入金平均金利は、0.7%です。

企業借り入れ金利
星野リゾートリート0.82%
いちごホテルリート0.88%
ジャパン・ホテルリート1.1%
森トラスト・ホテルリート0.39%

決算説明資料をもとに筆者作成

森トラストが、極めて低い金利で銀行から資金を調達していることがわかります。下の表は、自己資本比率(ROE)の一覧です。同社が6.25%と他社と比べても高いです。すなわち、低い金利で調達した資金を使い、開発・所有したホテルで効率的に利益を出していることがわかります。

企業自己資本比率(ROE)
星野リゾートリート5.25%
いちごホテルリート5.31%
ジャパン・ホテル・リート6.93%
大江戸温泉リート5.39%
森トラスト・ホテルリート6.25%

ただし、LTVは安全基準といわれる50%に近づいており、これ以上の借入金は敬遠されます。開発・取得ペースを落とさない姿勢を貫くとなれば、増資という選択肢が視野に入ってきます。

ヒルトン沖縄瀬底リゾート
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