不動産仲介サイトを運営するオウチーノ<6084>と、結婚式場の口コミサイトみんなのウェディング<3685>が経営統合することとなりました。株式移転により立ち上げた、共同持ち株会社「くふうカンパニー」に収まることとなります。株式移転比率はオウチーノ1株に対して、くふう株4.25株。みんなのウェディング1株に対して、同社1株。仕掛けたのは、菊川怜さんの夫で、ベンチャー投資家の穐田誉輝氏。穐田氏はオウチーノの55.91%を保有する筆頭株主で、同じくみんなのウェディングも筆頭株主として59.33%保有しています。穐田氏はクックパッド社長時代に、事業の多角化を目指して、みんなのウェディングと提携しました(その後ハシゴを外されるわけですが)。ここにきてようやく、ライフスタイル事業に乗り出し、リクルートの牙城へと攻め込む武器を揃えたようですね、という話です。この記事では以下の情報が得られます。

  • ①みんなのウェディング、オウチーノの苦境
  • ②ライフスタイル事業に参入する理由

 

単独メディアから複合メディアの時代へ

穐田氏は「くふうカンパニー」で何がしたいのか。ライフスタイルに沿ったメディアを複数抱え、ユーザーが一生関わり続けるインフラを築こうとしています。「揺りかごから墓場まで」。そのすべてを網羅するリクルート<6098>城の陥落を狙っているのかもしれません。穐田氏率いる「くふうカンパニー」に有利な点は2つあります。

  • ①10年ほど前に山ほど立ち上がったWebメディアが、一本立ちできなくなっていること
  • ②ベンチャーらしい小回りが利かせること

 

メディアは単体では生き残りづらい時代に突入しました。ポータルサイトが飽きられたことと、SNS等によるWebとは別のネットワークが築かれたことが背景にあります。ちょうど10年ほど前、ユーザーは専門のポータルサイトから主な情報を得ていました。食に関する典型的なサイトが「ぐるなび」。車探しは「グー」。家探しは「スーモ」などなど。契約企業から課金するタイプのポータルサイトの情報は、どうしても記事の宣伝色が強くなります。ユーザーは、次第にそんなありきたりな情報を嫌うようになり、より消費者目線のコンテンツを求めるようになりました。ブログやSNSへと情報源が移ったのです。ポータルサイト全盛期に立ち上がったサイトは、そこそこのユーザー数や閲覧数は保っているものの、伸びしろがほとんどありません。今、まさにメディアは買い時。穐田氏は、単独メディアとして勝負できなくなったものを、インフラの一つとして活用する時期がきたと判断しているのでしょう。上手くいけば、メディアを安く買いたたけるかもしれません。「くふうカンパニー」はその受け皿としての役割を担えそうです。

ポータル系メディアは、ベンチャー企業が運営しているケースが大半。リクルートが抱える数々のサイトのように、方向転換に時間がかかるほど運営体制は重くはありません。意思決定に時間をかけず、事業戦略や戦術を変えることが可能です。リクルートの「ゼクシィ」のように、紙媒体からWebへの切り替えが進まないといったジレンマが起こりにくいのです。フットワークの軽い会社が運営するメディアを多数買収して傘下に収め、編集部やエンジニアの最適化を図りながら、子会社・事業部の活性化を促し、時代に合わせたライフスタイルの提案をユーザーにする。それこそが、これからのメディア運営の在り方だと考えられます。そして穐田氏が体現しようとしていることです。