結婚式場運営最大手のテイクアンドギヴ・ニーズ(以下:T&G)<4331>。その業績回復が鮮明になってきました。2018年3月期の売上高は前期比7.3%増の645億9000億円。経常利益は18.5%増の24億8900万円です。今期売上高は2.2%増、経常利益は12.5%増と堅実な予測。業績の押上要因は大きく2つです。1つはホテル事業への参入。これにより、売上高が稼げる体制が整いつつあります。もう1つがドレスショップ買収などによる、婚礼商品の内製化。買収による高利益体質を作りました。中国事業が大失敗して迷走を続けた同社が復活の狼煙をあげています、という話です。この記事では以下の情報が得られます。
- ①T&Gの成長戦略
- ②婚礼ビジネスの行く先

平日と閑散期に稼働するトランクホテルは婚礼ビジネスの切り札
まず、T&Gの業績をみてみましょう。( )は前期比です。
売上高 | 経常利益 | |
2017年3月期 | 601億8600万円(1.1%増) | 21億円(52.4%増) |
2018年3月期 | 645億9000万円(7.3%増) | 24億8900万円(18.5%増) |
2019年3月期(予測) | 660億円(2.2%増) | 28億円(12.5%増) |
堅実な増収増益体制ができています。2016年3月期に経常利益を前期比50%以上落とすなど、苦境にあえいでいたT&G。背景には国内の婚礼客が細ったことと、中国事業からの撤退などがあります。特に中国進出には期待をかけていただけに、市場の失望も大きいものでした。株価は2018年6月29日に2129円の高値をつけていますが、逆境にあったころの2016年6月30日は383円という安値をつけています。
暗闇を照らす光となったのが、トランクホテルでした。トランクホテルはT&Gが手掛けた第1号のホテルです。神宮前に2017年5月13日オープンしました。施設概要はこんな感じです。
【トランクホテル】
- ・客室:全15室
- ・レストラン:ダイニング、串焼き屋
- ・バンケット:4
- ・チャペル:1
- ・アクセス:渋谷駅徒歩7分
- ・公式HP:トランクホテル

一言で表現すると、ウエディングホテルです。よくあるゴテゴテとした建物にせず、デザイン性を高めてモダンな雰囲気を醸成。環境や地域性に配慮するなど、ストーリー性を高めてブランディングを行いました。要するに、現代版にアレンジしたというわけです。この手のホテルには先行モデルがあります。業界で最も有名なのが、プランドゥシーの福岡にあるウィズザスタイルです。同社初のホテルで、相当な気合を入れて作りこみました。アメリカ西海岸風のデザインがうけ、宿泊料金は5~6万円と高額ながら、高稼働率を続けています。
ノバレーゼに買収されたホロニックが運営する、ホテル瀬戸レ神戸・舞子もその一つ。地産地消のテーマを掲げ、地域密着型というブランド作りをしたことで他社との差別化を図っています。