仮想通貨の新たな活用法が広がりを見せている。楽天<4755>は子会社の、みなし仮想通貨交換業者である、楽天ウォレット(東京都世田谷区、旧社名みんなのビットコイン)で新しいサービスを4月から始める。
新サービスの内容はまだ発表していないが、楽天が2018年8月31日にみんなのビットコインの買収を発表した際には、Eコマースや実店舗での決済で仮想通貨による決済機能を活用する意向を示していた。
楽天は通販をはじめトラベル、デジタルコンテンツ、クレジットカード、銀行、証券、保険、電子マネー、スマートホンによるバーコード決済など70を超えるサービスを提供している。これら分野に仮想通貨を絡ませることで、他社とは違った新たな決済手段を提供しようという作戦だ。
Q&Aサイト「OKWAVE」を手がけるオウケイウェイヴ<3808>は、2019年4月16日に仮想通貨「cOban(コバン)」を発行するLastRoots(東京都中央区)を子会社化し、ブロックチェーン技術などを取り入れた“感謝経済”の構築に乗り出す。こうした動きを目の当たりにするコインチェック(東京都渋谷区)を傘下に抱えるマネックスグループ<8698>などの大手企業グループはどのように動くだろうか。
仮想通貨は相場が下落し、2018年後半から関心が急速に薄れてきた。仮想通貨交換業への新規参入を目指す企業も少なくないだけに、仮想通貨に新たなサービスが加わることは、再度関心を呼び寄せる一つのきっかけになりそう。2019年4月は仮想通貨の新たな船出となるだろうか。
楽天ウォレットは2019年3月1日に社名をみんなのビットコインから変更したばかり。楽天グループとのシナジー効果を高め、事業の拡大や新たな価値を提供するのが目的だ。以前から目指していた仮想通貨交換業者としての登録は2019年3月25日に完了、いよいよ本格的な活動に入る。
楽天はグループの証券会社である楽天証券でFX顧客を中心に仮想通貨による運用機会の提供を期待する顧客の声が高まっていたことや、仮想通貨の決済手段を円滑に提供していくため、仮想通貨交換業への参入を検討していた。また、楽天会員を結び付け、ユーザーのグループサービス内での回遊性を高め、独自の楽天エコシステム(経済圏)の確立を目指している。
こうした背景から、みんなのビットコインを買収し、楽天グループ内での活用を検討してきた。その結果が、この4月に現れることになる。どんな新サービスを打ち出すのか、スマートホン決済サービスでは100億円あげちゃうキャンペーンなどで話題を集めるPayPayや、頻繁にキャンペーンを打ち出すLINE Payなどと比べ、やや影が薄い楽天だが、仮想通貨で一気に巻き返すことができるか。審判の日は真近に迫っている。
文:M&A Online編集部
テックビューロ(大阪市西区)は、同社が運営する仮想通貨取引所Zaifのホットウォレットから流出した仮想通貨が約70億円分になると修正した。ホットウォレットとは一体何なのか。