2019年は仮想通貨の安定度が高まる年になりそうだ。2018年は大量の仮想通貨が不正流出する事件が2件発生したことから、金融庁による業務改善命令や業務停止命令が出され、業界全体が健全化に向かって歩み出した年だった。
その流れを受け、2019年は一層の健全化、安定化が進みそう。仮想通貨という呼称自体も法定通貨との誤解が生じないよう「暗号資産」に変更される見込みで、もはや通貨でなくなる。
新たな規制も実施されそうだ。顧客の仮想通貨を管理し、顧客の指示によって指定先のアドレスに仮想通貨を移転させる業務「仮想通貨カストディ業務」に規制を設け、業務の適正で確実な遂行を確保する方向が示されている。
資金調達手段の一つで、大半が詐欺といわれるICO(イニシャル・コイン・オファリング)については禁止とはならないものの、規制が強化されるのは間違いない。投資商品の販売とみられるものについては投資に関する金融規制が、支払い、決算手段の販売とみられるものについては決済に関する規制が実施される見込みだ。
一方、仮想通貨の価格については、2018年は値上がりを期待した一般の投資家がワクワク感を持ってスタートしたが、価格が急落するに伴って関心が急速に萎んでいった経緯がある。
2019年はどのような相場展開になるだろうか。だれにも先行きは分からないわけだが、明るい見通しを持つのは難しい。日本では若い人を中心に取引人口が増えたが、多くが損失を抱えており、さらなる購入に結び付く要因は見当たらない。通貨ではなく暗号資産となると、一層その傾向に拍車がかかりそうだ。
日本政府は世界に先駆けて仮想通貨交換業者を登録制とし、市場の安定化に取り組んできた。日本が仮想通貨で世界をリードする日は訪れるだろうか。2019年は将来の日本のポジションを占う年となりそうだ。
文:M&A Online編集部
日本仮想通貨交換業協会が仮想通貨交換業の自主規制案をまとめた。自主規制が実施されれば、これまで以上に仮想通貨に対する信頼感が高まり、利用者の層が一段と広まることが見込まれる。