2019年の「仮想通貨」は安定へ 金融庁が規制を強化
日本政府は世界に先駆けて仮想通貨交換業を登録制とし、市場の安定化に取り組んできた。日本が仮想通貨で世界をリードする日は実現するのか。2019年は将来の日本のポジションを占う年となりそうだ。
Q&Aサイト「OKWAVE」を手がけるオウケイウェイヴ<3808>は、仮想通貨「cOban(コバン)」を発行するLastRoots(東京都中央区)を子会社化し、ブロックチェーン技術などを取り入れた“感謝経済”の構築に乗り出す。
感謝経済は企業などに提供しているQ&Aサービスを利用するユーザー同士が、感謝の気持ちとしてお互いに贈り合うことができる「OK-チップ」を貯めることで、企業などからの優待や特典を受けることができるシステム。
両社は「OK-チップ」と「c0ban」を連携させたサービスの開発やマーケティングの協業などに取り組み、感謝経済の中で活用する。仮想通貨は価格の下落によって関心が薄らいでいるだけに、仮想通貨の一つの活用方法として、新たな道が開けそうだ。
「OK-チップ」は仮想通貨ではなく、「感謝経済」のプラットフォーム内でのみ利用できるポイントのようなもので、売買はできない。一方の「c0ban」はLastRootsが発行した仮想通貨で、LastRootsが運営するc0ban 取引所で売買ができる。
両社は「OK-チップ」と「c0ban」の普及のため、感謝経済のプラットフォーム上での技術的、マーケティング的な連携を進め、両サービスのユーザー数の増加を目指す。
オウケイウェイヴは2019年4月にLastRootsが実施する第三者割当増資を引き受けて現在の34.15%の持ち株比率を82.88%に引き上げる。取得価額は3億5000万円。
オウケイウェイヴは2019年1月29日にLastRootsと業務提携し、同2月28日には株式の34.15%をSBI Ventures Twoから取得し、持分法適用関連会社としていた。LastRootsの子会社化に伴い、仮想通貨交換業の登録を目指していたオウケイウェイヴ自体は登録申請の意向を取り下げ、LastRoots社の仮想通貨交換業登録に注力する。
LastRootsは2016年7月にICO(イニシャル コイン オファリング)で6億円超の資金調達を実施し、動画広告と仮想通貨を組み合わせた広告サービスプラットフォームの開発・運営を行ってきた。2017年3月にc0ban取引所をオープンし、同年9月27日には、仮想通貨交換業者の登録申請を行い、現在は「みなし仮想通貨交換業者」として営業中。2018年10月にはc0ban取引所でのc0banと円の累積取引高が100億円を突破した。
LastRootsはSBI<8473>傘下で仮想通貨交換業の登録業者を目指していたが、自ら仮想通貨取引業者を目指していたオウケイウェイブの元で事業を推進することになった。
オウケイウェイヴは1999年7月の創業で、2000年から「OKWAVE」を運営し、現在はOKWAVE、感謝経済プラットフォームなどの「コンシューマー・サービス事業」、企業向けのQ&Aサービスなどの「エンタープライズ・ソリューション事業」、多言語コンタクトセンター(電話通訳)、通訳派遣、翻訳などの「インバウンド・ソリューション事業」、ブロックチェーン技術を用いたシステム開発、資産運用サポートなどの「フィンテック事業」の4つの事業を展開している。
2018年6月期はマーケティングサポートや企業向けビジネスが好調で、新規事業であるフィンテック事業も加わり、売り上げ、利益とも大きく伸びた。2019年6月期は売上高55億円(前年度比45.2%増)、営業利益15億円(同23.3%増)と2期連続の大幅な増収増益見込み。
文:M&A Online編集部
日本政府は世界に先駆けて仮想通貨交換業を登録制とし、市場の安定化に取り組んできた。日本が仮想通貨で世界をリードする日は実現するのか。2019年は将来の日本のポジションを占う年となりそうだ。
仮想通貨交換業に新規参入の意向を持つ企業が160社超に達していることが、金融庁の調べで分かった。4月27日に金融庁が公表した資料では100社程度だったため、この5カ月ほどで1.6倍に増えたことになる。