金融庁が仮想通貨交換業者7社を処分することになった。利用者保護のためのセキュリティー対策が不十分な業者を厳しく監督するのが目的だ。
約580億円分もの仮想通貨NEM(ネム)の不正流出で窮地に立っているコインチェックが1月に続いて2度目の行政処分となったほか2社が業務停止命令を受け、コインチェックを含む5社が業務改善命令を受けた。
業務停止命令を受けたのはFSHO(横浜市)、ビットステーション(名古屋市)の2社。業務改善命令を受けたのはGMOコイン(東京都渋谷区)、コインチェック(東京都渋谷区)、バイクリメンツ(東京都港区)、テックビューロ(大阪市)、ミスターエクスチェンジ(福岡市)の5社。
日本には16の登録業者と16のみなし事業者があり、今回はこの4分の1ほどの事業者に処分が下ったことになる。
2017年4月に交換業者の登録制度を導入した金融庁には、かねてから規制の強化を求める声が上がっていた。今後もこうした動きが弱まることはなさそうだ。規制が強化されれば、セキュリティー対策のために多額の資金が必要になるだけに、今後これら交換業者のM&Aが現実味を帯びてくることになる。
現在、仮想通貨は世界中に1000種以上あり、これを取り扱う交換業者も数多くある。日本でもLINE<3938>が新たな仮想通貨を発行し、交換業者としての登録を申請する計画を打ち出しているように、今後も新たな仮想通貨の発行や交換事業に乗り出す企業の出現が予想される。
仮想通貨は紙幣や硬貨は存在せず、パソコンやスマートフォンなどを用いて物の売買ができるため無料か格安の手数料で送金できるというメリットがある。すでに飲食代として支払いが可能な店舗が現れるなど仮想通貨を利用できる場面は徐々に増えつつある。
M&A の世界でも企業買収の際の資金の一部を仮想通貨で支払うケースが出てきており、将来は仮想通貨を現物出資して株式を取得するというような取引を予想する専門家いる。
利便性をどこまで追求するのか。安全性との兼ね合いはどうするのか。仮想通貨の未来はまだまだ混沌としている。
文:M&A Online編集部