仮想通貨交換業者に追い風 金融庁が検査結果公表
仮想通貨交換業者に追い風が吹き始めた。金融庁による立ち入り検査や行政処分などが一段落し、新たな仮想通貨交換業者の登録作業が動き出したためだ。日本の取り組みが世界から注目を集めそうだ。
米国証券取引委員会(SEC)が2018年8月14日に、カリフォルニア州での石油掘削事業で不正なICO(イニシャル・コイン・オファリング)を行ったとして、当該企業の経営者に対して役員就任禁止、投機的安物株禁止、罰金3万ドル(約330万円)の処分を下したと発表した。
この経営者は、権利がないにもかかわらず、調達した資金をカリフォルニア州で油井を掘るのに使うと虚偽の説明をしていた。
以前からこうした詐欺的なICOに対する警告がなされていたが、法整備が遅れており、事態は改善されていなかった。今回、ICO規制を強めている米国で、こうした処分を下す事例が出はじめてきた。
規制については米国のほかにも英国やシンガポールなど欧州やアジアの国々で取り組み進んでおり、日本も金融庁によってICOの規制が検討されている。では一体ICOとは何なのか。
ICOはInitial Coin Offering=イニシャル・コイン・オファリングの頭文字で、日本語では新規仮想通貨公開と訳される。新たな仮想通貨を発行して資金を調達しようというもので、IPO(新規株式公開)に似た仕組みを持つ。
IPOは株式を証券会社に仲介してもらい、投資家に販売する仕組みで、株式公開に当たっては経営状態などについて厳しい審査がある。これに対しICOは企業が独自のトークン(代用貨幣=仮想通貨など)を自由に発行でき、IPOのような審査はない。
トークンを発行する前に、どのような事業を行うのか、将来の構想や技術力などを説明した事業計画書や技術文書(ホワイトペーパー)を公開し、これに賛同する投資家が出資することになる。
米国証券取引委員会が処分を下したのは、このホワイトペーパーに書かれた内容が事実でなく、出資金をだましとる詐欺であると判断したためだ。
ICOは仮想通貨を利用するため、ネット上で行うことができ、個人でも簡単に世界中の支援したい事業に直接、投資することができる。支援した事業が成功すれば、多額のリターンが期待できる半面、事業が失敗すれば投資した資金をすべて失う危険性がある。米国の事例のように詐欺にあうこともある。
今後、法整備が進み規制が強化されると、より安全に投資することができるようになるものとみられる。現時点ではホワイトペーパーなどの情報を得て、自己責任で投資の判断をするしかない。
文:M&A Online編集部
仮想通貨交換業者に追い風が吹き始めた。金融庁による立ち入り検査や行政処分などが一段落し、新たな仮想通貨交換業者の登録作業が動き出したためだ。日本の取り組みが世界から注目を集めそうだ。