「凸版印刷」が南アフリカ企業を買収 その戦略とは

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凸版印刷<7911>は、ID(身分証明)ビジネスなどを展開している香港の子会社Toppan Gravityを通じて、新興国を中心に20カ国以上で運転免許証や身分証明書などの管理システムを手がけている南アフリカのITシステムインテグレーターFace Technologiesを買収した。

アフリカ地域における政府系のID事業に本格参入し、同事業を一気に拡大するのが狙いで、海外企業の買収は2019年のドイツの建装用化粧シートメーカー、インタープリント以来となる。

同社は、2022年3月期と2023年3月期の2カ年を対象にした中期経営計画で、M&Aを活用したグローバルネットワークの構築を目標の一つに掲げており、今回の買収はこの計画に沿ったものとなる。凸版印刷の戦略とはどのようなものなのか。

海外M&Aなどが加速

Face Technologiesは政府系ID市場で28年以上の実績を持っており、同社の買収によって、凸版印刷はアフリカに、市民登録、選挙、身分証明書、パスポート、運転免許、車両登録などのシステム提供のための拠点を確保することになる。

さらにアフリカ地域での政府系ID市場は、今後5年間で規模が2倍になると推定されており、凸版印刷グループが持つ偽造防止ホログラムなどの技術と、Face Technologiesの技術や現地に合った設計のノウハウなどを組み合わせることで、事業の急速な拡大も見込める。

凸版印刷は中期経営計画で、2023年3月期に1兆5000億円(2021年3月期比2.3%増)の売上高と670億円(同14.0%増)の営業利益を目指しており、この目標達成のために中期経営計画とその前年度の2021年3月期を合わせた3カ年で約2800億円の資金を投じる計画だ。

安定・構造改革向けの設備投資が半分近くを占めるが、従来よりも同分野への投資額を抑え、成長分野への投資をはじめ、海外やデジタル化、未開拓の分野でのM&A投資などに力を入れるという。

同社の海外M&Aは、家具や建具、床などの表面化粧材として使われる建装材で世界有数の規模で事業を展開するインタープリントの子会社化にまでさかのぼる。

今回2年ぶりに海外企業の子会社化に踏み切ったことで、今後海外M&Aなどが加速する可能性はありそうだ。

【凸版印刷の経営目標】単位:億円

2021年3月期
(実績)
2022年3月期
(予想)
2023年3月期
(計画)
売上高 14669 14500 15000
営業利益 587 520 670
経常利益 580 510 660
当期利益 819 310 410

文:M&A Online編集部

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