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「外食」産業に他業界から熱い視線 コロナ後を見越した戦略か
外食・フードサービス業界でM&Aが復活の兆しを見せている。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って同業界では2020年、2021年と2年連続してM&A件数が減少していたが、2022年は9月末時点で前年度を2件上った。
すし業界の企業業績が好不調に二極化しつつある。回転ずしのカッパ寿司を展開するカッパ・クリエイト<7421>と持ち帰りずし小僧寿しを展開する小僧寿し<9973>の2社は、業績予想を下方修正し赤字幅が拡大すると発表。スシローを展開するFOOD & LIFE COMPANIES<3563>の2023年9月期第1四半期決算では国内スシロー事業が99%強の大幅減益を余儀なくされた。
これに対し、回転ずしの魚べいなどを展開する元気寿司<9828>は2023年3月期の営業利益が4倍ほどに拡大する見通しで、第4四半期のスタート月である2023年1月の全店売上高は20%を超える増収となった。
くら寿司を展開するくら寿司<2695> は2023年10月期に営業損益が黒字転換する見込みで、この期の第1四半期に当たる2022年11月から2023年1月までの3カ月間の全店売上高は4%近い増収となった。
新型コロナウイルス感染症の拡大による消費低迷の影響に加え、円安やウクライナ情勢による原材料価格の高騰など外食産業を取り巻く環境は依然として厳しい。各社の状況を見てみると。
小僧寿しは2023年2月15日に2022年12月期の業績予想を修正し、それまでの営業損益4億7800万円の赤字を6億1300万円の赤字に引き下げた。持ち帰りずし事業で年末に販売したおせち料理が振るわず、デリバリ-事業や飲食事業では仕入れ価格が高騰し収益を圧迫したのが要因だ。ただ売り上げはいずれも順調に推移したため、こちらは1億円ほど多い102億9300万円に引き上げた。
カッパ・クリエイトは2月8日に2023年3月期の業績予想を見直し、それまでの9億8600万円の営業黒字から10億6500万円の営業赤字に修正した。年末年始の特需が振るわなかったのに加え、コロナ禍で夜間時間帯の人流の減少が足を引っ張った。このため売上高も17億4600万円引き下げ、710億1500万円にした。
FOOD & LIFE COMPANIESが2月7日に発表した2023年9月期第1四半期決算では、国内スシロー事業のセグメント利益が99.2%減の3900万円に留まった。売上高も18.9%減の466億8000万円と大幅な減収を余儀なくされた。
2022年10月に行った値上げ以降、来店客数が減少。10月から12月までの3カ月間の平均は75%ほどと厳しい状況が続いた。2023年1月は88.9%と回復の兆しが現れているが、2ケタダウンからは脱しきれていないのが現状だ。
ただ、海外のスシロー事業は好調で、売上高は84.8%増の138億4500万円と急増しており、セグメント利益は11億200万円と2.9倍に跳ね上がった。
元気寿司とくら寿司は好調組だ。元気寿司は2023年3月期の営業利益は10億7000万円の予想で、前年実績の4.03倍に急増する。売上高も512億1000万円で、14.8%の増収となる。
第3四半期までの状況だと、国内事業のセグメント損益は1億6800万円(前年度は5億300万円の赤字)の赤字だが、海外事業のセグメント利益が12億3700万円に達したことから大幅な増益となった。売り上げ規模が国内事業(343億5600万円)の6分の1ほどの海外事業(58億7100万円)が全社を支える形となった。
くら寿司は2023年10月期に30億円(前年度は11億1300万円の赤字)の営業利益を見込む。売上高は2090億円で14.2%の増収となる。全店の月ごとの売上高を見ると2022年11月が103.8%、12月が101.6%といずれも前年実績を上回ており、2023年1月は106.2%と伸びが大きくなっている。
文:M&A Online編集部
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外食・フードサービス業界でM&Aが復活の兆しを見せている。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って同業界では2020年、2021年と2年連続してM&A件数が減少していたが、2022年は9月末時点で前年度を2件上った。