NEXT STORY
時短命令に抗うグローバルダイニング、コロナ禍の1店舗売上高がコロナ前を上回る
レストランを運営するグローバルダイニングの2021年12月期第2四半期の売上高は前期比92.3%増の47億1,400万円。コロナ前の2019年12月期第2四半期の売上高は46億8,300万円で、コロナ前と比較しても0.7%上回る結果となりました。
イタリアンレストラン「カフェ ラ・ボエム」などを運営するグローバルダイニング<7625>が、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づいて東京都が営業時間短縮命令を出したのは違法だとして、東京都に損害賠償を求めた訴訟の判決が2022年5月16日に東京地裁でありました。松田典浩裁判長は「命令は違法」としたものの、「東京都に過失があるとまでは言えない」として原告側の請求を棄却しました。
新型コロナウイルス感染拡大、緊急事態宣言の発令、飲食店への営業時間短縮要請及び命令という、前代未聞の出来事が起こった中で争われた注目の裁判でした。しかし、「命令は違法」であるものの「東京都に過失があるとは言えない」という判決は今一つ歯切れの悪い印象を受けます。
今回、争われることになった背景や内容を解説します。この記事では以下の情報が得られます。
・グローバルダイニングの主張とコロナ禍の対応
・東京都がグローバルダイニングに対して行った”時短命令”とは
まず、裁判で争われることになった背景から説明します。発端は、1月8日から2月7日24時までの東京都内全域を対象とした緊急事態宣言の発令。これにより、飲食店は20時以降の営業を自粛、酒類の提供は11時から19時までとする協力依頼を受けました。
この協力依頼に対し、グローバルダイニングは緊急事態宣言発令が発表された1月7日に「緊急事態宣言の発令に関して、グローバルダイニング代表・長谷川の考え方」を公表します。「2021年1月7日現在の状況におきまして、当社は宣言が発令されても営業は平常通り行う予定でございます。」という文章から始まり、コロナ禍が国民の健康と生命に甚大な脅威を与えているのかという疑問を投げかけ、今の行政からの協力金やサポートでは時短要請に応えられず雇用の維持ができないことなどを訴えています。
夜間も営業することにより、主力レストラン「ラ・ボエム」の2021年1月の売上高はコロナ前の2020年1月の売上高を9.5%上回りました。
■グローバルダイニング2021年12月期月次売上高
時短要請中の夜の食事需要は減退しておらず、顧客から必要とされていることが示されました。
事態が急変したのは、2021年3月8日の緊急事態宣言。1月と同様、飲食店には営業時間の短縮とアルコール類の提供の制限が要請されました。グローバルダイニングは通常営業スタイルを貫いていましたが、3月18日に東京都が時短要請に応じない一部飲食店事業者に対し、新型インフルエンザ等対策特別措置法45条3項に基づく、「施設使用制限」命令を発出したのです。東京都は従わない事業者に対して、過料を課すという国内初の命令でした。
命令の対象となった店舗は27。そのうち26店舗がグローバルダイニングのものでした。グローバルダイニングはこの命令に従います。
東京都はグローバルダイニングが時短要請には応じないと表明したことに対し、緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店の20時以降の営業継続を誘発する恐れがあるなどとして、危機感を抱いていました。東京都からの一律時短要請に従わなかった2,000超の施設のうち、グローバルダイニングを含む113の施設に個別の時短要請がかけられたといいます。
グローバルダイニングの代表取締役社長・長谷川耕造氏は、多様な従業員の雇用を守り、営業の自由、民主主義国家のあり方を問うため、1店舗1日1円とする国家賠償を求める訴訟を提起しました。
レストランを運営するグローバルダイニングの2021年12月期第2四半期の売上高は前期比92.3%増の47億1,400万円。コロナ前の2019年12月期第2四半期の売上高は46億8,300万円で、コロナ前と比較しても0.7%上回る結果となりました。