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「スシロー」のFOOD&LIFE COMPANIES、回転ずし最大手の行く末は?|ビジネスパーソンのための占星術
回転ずし4強の中で、トップを独走するのが「スシロー」を展開するFOOD&LIFE COMPANIES(旧スシローグローバルホールディングス)。ところが、今年6月、消費者庁から「おとり広告」を行ったとして景品表示法に基づく措置命令を受けた。来し方行く末を西洋占星術から眺めてみると?
スシローを運営するFOOD&LIFE COMPANIES<3563>が危機に陥っています。
2022年10月1日の値上げによって、急速に客離れを引き起こしているのです。2022年10月の既存店客数は前年同月比20.1%減、11月は26.9%減となりました。
1皿10~35円のわずかな値上げでしたが、客数への影響は甚大でした。なお、同じ時期に値上げをしたくら寿司<2695>の既存店の客数は前年同月比8.4%の減少に留まりました。
ファンドからファンドへの転売が繰り返されたスシローは、のれんを抱えています。店舗の収益性悪化は、のれんの減損損失という巨額損失を計上する導火線ともなりかねません。
この記事では以下の情報が得られます。
・FOOD&LIFE COMPANIESの業績
・回転ずし大手客数の比較
スシローは2022年6月に消費者庁からおとり広告に該当する景品表示法違反が認められると指摘され、再発防止措置をとるよう命じられるなど、店舗運営に歪みが生じていました。その年の7月にビールジョッキ半額キャンペーン実施前に広告を表示したことがSNSで大炎上し、消費者からの信頼を失います。
スシローの客数は他社と比較して後れを取っていました。10月の値上げが客離れの決定打となります。
FOOD&LIFE COMPANIESの2022年9月期の売上高は前期比16.8%増の2,813億円と堅調ですが、営業利益は同55.8%減の101億円と大幅な減益となりました。営業利益率は3.6%。海外も含めて合計で116店舗を出店したために増収となったものの、既存店の集客が苦戦。国内スシロー事業のセグメント利益は前期比65.8%減少しています。
また、2021年4月に子会社化した京樽(東京都中央区)は30億円の赤字。京樽は吉野家ホールディングス<9861>の子会社だったころから赤字に苦しんでいましたが、テイクアウト需要が活発になってFOOD&LIFE COMPANIESが連結子会社化した後も、黒字化はできていません。
2023年9月期は売上高が前期比13.8%増の3,200億円、営業利益を同8.7%増の110億円と見込んでいます。営業利益率は3.4%で前期を下回る予想です。
ただし、経営陣が値上げによってこれほど負のインパクトを受けると予想していたとは考えづらく、業績の下方修正も視野に入ります。
FOOD&LIFE COMPANIESはコロナ禍を経てもなお、自己資本比率は19.61%と高水準にあります。しかし、財務体質を脆弱にする爆弾を抱えています。買収によって生じたのれんです。
FOOD&LIFE COMPANIESは京樽を買収する前に、303億7,100万円ののれんを計上しています。
この額は2022年9月末時点の純資産額の46.6%に相当します。
のれんは、買収した会社の純資産と買収額の差額によって生じます。京樽を買収する前のスシローにのれんが積まれていることに違和感を覚えるかもしれませんが、スシローは2008年に国内の投資ファンド、ユニゾン・キャピタル(東京都千代田区)、2017年にイギリスの投資ファンド、ペルミラ・アドバイザーズ(ロンドン)に買収されています。
投資ファンドは買収して企業価値を上げ、高値で売却するのが普通。特にユニゾン・キャピタルは、買収当時に市場を席捲していたかっぱ寿司を追い抜き、スシローを国内トップの回転ずしブランドにしたことでよく知られています。
FOOD&LIFE COMPANIESは国際会計基準であるIFRSを採用しています。そのため、無形固定資産であるのれんを償却する義務はありません。
ただし、毎年のれんに見合った収益力があるかチェックされ、必要に応じて減損処理をする決まりです。のれんの減損損失です。
回転ずし4強の中で、トップを独走するのが「スシロー」を展開するFOOD&LIFE COMPANIES(旧スシローグローバルホールディングス)。ところが、今年6月、消費者庁から「おとり広告」を行ったとして景品表示法に基づく措置命令を受けた。来し方行く末を西洋占星術から眺めてみると?