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減るファミレス、増えるハンバーガー、焼き肉店 帝国データバンクが調査
コロナ前の2019年12月に9230店あったファミリーレストランが、2022年6月には8420店に減少していることが分かった。減少した店舗は810店で、率にすると約9%のマイナスになる。
ワタミ<7522>の「から揚げの天才」が、2022年10月3日から一部店舗で「ねぎとろ丼」の販売を始めました。「築地テリーの海鮮丼」というカテゴリの第1弾と銘打っていることから、売れ行き次第では海鮮丼シリーズをメニューに追加するものと予想できます。
から揚げの天才は、揚げたてのから揚げにこだわる専門店というコンセプトでスタート。から揚げ店は原価率が低く抑えられるうえ、初期投資がかからないという特徴があります。ワタミは低投資で収益性が高いビジネスモデルを構築し、FC加盟店で拡大する戦略を立てました。海鮮丼の取り扱いは、当初のコンセプトから大きく外れているように見えます。
その背景には、から揚げの市場が縮小に転じている一方で、競合店は増えていることがあると考えられます。
この記事では以下の情報が得られます。
・から揚げ需要の変化
・から揚げの天才の変遷
から揚げの天才の公式ホームページには、メインキャラクターであるテリー伊藤さんが、35年から揚げにこだわっている居酒屋のオーナーと出会い、その美味しさを日本中に広めたいとの思いから店舗を立ち上げたと書かれています。このストーリーを軸に店舗展開していました。
から揚げの天才は2018年11月に東京都大田区に1号店を出店。ワタミは駅前の繁華街に大型の居酒屋店を構え、宴会客をメインに獲得するビジネスモデルを得意としていました。から揚げの天才はから揚げに専門特化したブランドであり、テイクアウト需要を獲得するという、これまでのビジネスモデルを大きく変える業態でした。
しかも、FC展開を当初から計画しており、直営店の出店にこだわっていたワタミの転換点を示していました。
2020年に入って新型コロナウイルス感染拡大が深刻化。人々の生活様式が一変すると宴会需要は消滅、テイクアウト・デリバリーが盛り上がりました。新たな生活様式に合致したブランドがから揚げの天才でした。
2021年7月に100店舗を達成。1号店のオープンからわずか2年7カ月という異例の速さで達成しています。素早く店舗を拡大できた要因に、初期投資額を999万円に抑えた低投資モデルを開発したことがあります。ワタミは更に380万円で出店できるコンテナ型の店舗を開発しました。
ワタミは2020年3月に、カラオケ店を運営するコシダカホールディングス<2157>とから揚げの天才のFC契約を結びました。また、パチンコ店運営のダイナム(東京都荒川区)とも契約を結び、2022年6月にパチンコ店の駐車場にコンテナ型の店舗を出店しています。
から揚げの天才のFC店数は、2021年3月末の25店舗から2022年3月末の80店舗まで大幅に拡大しています。FC加盟店を主軸に店舗拡大をしたワタミは、集客に全力を注がなければなりません。商品開発とプロモーションがFC店の継続と更なる拡大のカギを握ります。
しかし、不穏な空気が漂います。から揚げブームの終焉が見え始めたことです。
コロナ前の2019年12月に9230店あったファミリーレストランが、2022年6月には8420店に減少していることが分かった。減少した店舗は810店で、率にすると約9%のマイナスになる。