【M&A戦略】通販・食品会社を買収も目立つ慎重さ

JALUXの沿革と主なM&A

内容
1962年 資本金200万円をもって航空商事として設立(東京都中央区銀座)
1976年 建設営業部門を航建に譲渡
1983年 JEIの株式80%を取得
1986年 ジェットストリームの株式51.7%取得 日航商事ビジネスサービスへ出資、株式51%取得
1997年 ジェットフレッシュの営業譲り受け
1997年 エフテックの営業譲り受け
1999年 JAL TRADING AMERICAS,Inc.の株式200万株取得により、全株式500万株を保有
2002年 東京証券取引所市場第二部に上場
2004年 ジェイエイエストレーディングと合併
2004年 東京証券取引所市場第一部に上場(銘柄指定)
2007年 日本航空から双日への一部株式譲渡により筆頭株主が異動
2009年 主婦の友ダイレクトを資本参加により子会社化
2011年 日本空港ビルデング、双日との資本業務提携合意 双日から日本空港ビルデングへの一部株式譲渡 (出資比率:双日22%、日本航空21%、日本空港ビルデング8%) 日本空港ビルデングとの業務提携締結
2013年 アグリ・サンの営業権の譲受および同社グループ海外子会社2社株式 の取得(子会社化)
2013年 主婦の友ダイレクトの全株式を売却
2015年 グレンフィールド及びグレンチェックの株式取得(子会社化)
2016年 前田道路株式会社との資本業務提携締結

 JALUXは、その背景から航空関連事業を中心に事業を展開するが、事業拡大の手段としてM&Aが選ばれるケースは決して多くはなく、また慎重である。

 JALUXが脱日本航空子会社してからの最初の企業買収は主婦の友ダイレクトである。

 2009年、JALUXは通信販売事業の拡大・発展を目的に、主婦の友ダイレクト(売上高:45億円、経常利益:7千万円、純資産:12億円)の株式51.2%を取得し、子会社化した。子会社化による売上規模の拡大とともに両社の事業ノウハウや経営資源の共有化を通じて通販事業全体の事業拡大を目指した。

 具体的には、JALUX既存通販事業とは異なる顧客層マーケットの開拓や書店ルートなどを活用した新規媒体の発行、モバイル通販等の拡大、また通販共通業務の共同化により、バックヤード機能の拡充・強化と業務効率性の向上を両立し、通販事業の競争力強化であった。株式取得価額は1億5千万円でありJALUXの自社の意思決定による初のM&Aは比較的慎重だったと言えるだろう。航空関連部門だけではなく、関連事業の拡大をM&Aによって試みた。

 しかしその4年後、JALUXは主婦の友ダイレクトを売り払うことになる。2013年に主婦の友ダイレクトのJALUXが保有する全株式を千趣会に譲渡した。取扱商品の特性やターゲットの違いからJALUX通販事業とのシナジー効果がなかったためであり、航空旅客を主なターゲットとするJALUXの通販事業とは異なる顧客層と、主婦の友ダイレクトの妊婦・育児品関連と雑貨・インテリア等の通販事業は大きな隔たりがあったようだ。事実、譲渡後の主婦の友ダイレクトの売上高は40億円以下に落ち込んでおり営業赤字になってしまっていた。

 さらに同年に周辺業種の強化をM&Aにより図った。当時の中期経営計画に食品事業は中核事業と認識しており、2013年にJALUXは食品商社であるアグリ・サンと事業譲渡により買収した。アグリ・サンは、タイ王国とラオス人民民主共和国にループ子会社の2社を有し、現地アスパラガスやオクラ等の生産・加工・輸出等を手掛け、日本国内の販売において、輸入アスパラガス、オクラ流通市場での一定のシェアを確保していた。買収により、JALUXの農産事業における主力商材パプリカ等の生鮮野菜に加え、アグリ・サンのアスパラガスやオクラを取扱商材として拡充を図るとシナジー効果を期待した。

 その2年後、M&Aによるファッション分野の強化を図った。2015年にJALUXはグレンフィールド(売上高:14億円、当期純利益:14億円、純資産:4億円)及びグレン チェック(売上高:4億円、当期純利益:1百万円、純資産:3千万円)を買収した。対象であった2社は雑貨・ファッション分野において英国をはじめとする海外からの仕入力と優れた商品企画開発力があった。この強みをJALUXのオリジナル商品開発等に活用するなど、通信販売事業を中心としたJALUXのリテール事業において相応のシナジー効果を見込んだ。ただし最初に対象会社の所有割合の51%の株式を取得し、その1年後に残りの49%を取得する計画であり、ここでもM&Aに慎重であることがうかがえる。