■各社年度末シェア 推移

※一般社団法人 電気通信事業者協会データベース(http://www.tca.or.jp/database/)より

 海外のM&Aの失敗から国内のM&Aに回帰した感のあるドコモであるが、どちらかというと守りのM&Aを行っているように見える。海外での大胆なM&Aがことごとく失敗したため、地に足の付いたM&Aを行っていくことが今のドコモにとって最善という結論に至ったのかも知れない。

■変わりゆく国内携帯電話市場

 近年、音声通話の定額プランや仮想移動体通信事業者(MVNO)[注3]による格安携帯、2年契約の途中解約における違約金の解除など、携帯電話市場は大きな転換期にあり、これまでほぼ独占状態にあったドコモをはじめとする大手携帯電話会社各社にとって収益構造の多角化や事業展開の工夫が求められている。[注3]:「Mobile Virtual Network Operator」、日本語では「仮想移動体通信事業者」。 大手キャリアなどから無線通信基盤を借り受け、独自サービスを加えて提供する企業のこと。

 15年春、携帯電話に挿入されているSIMカードのロックが解除できるSIMロックの解除が義務化された。SIMロックとは、携帯電話利用者が購入したキャリアのSIMカードしか読み込まないようにする仕組みのことで、これによってユーザーの囲い込みができるといわれている。

 しかし、今回SIMロックの解除が義務化されたことで、例えばスマートフォンの中に入れるICチップを交換するだけで今までと異なるキャリアでスマートフォンを利用できるようになった。

 これを機に、ドコモなどの大手キャリアから回線を借りて格安SIM・格安スマホを展開するMVNOが急激に増加、契約者数も同様に増えている。大手携帯キャリアに対してMVNOは、初期費だけでなく利用料も安いことが、消費者心理に大きな影響をもたらしている。。

 これまで多くのユーザーが携帯電話を買う際には、割賦(分割払い)を利用しており、大手キャリアのほとんどは24回にわたって通信料を割り引くことでスマートフォンなどの実質価格を抑えていた。しかし今後は、携帯電話はそのままにキャリアだけ乗り換えるといったことが当たり前になると考えられる。

 政府主導の携帯電話市場の自由化により利用者にとってはより安くより便利に、これまでほぼ市場を独占してきた大手キャリア3社にとって、これまで以上にM&Aを視野に入れた経営戦略、それに伴う業態転換や経営の効率化が求められるようになった。

 急激に市場が変化していく中で、ドコモのこれまでのM&A戦略が正しいかどうかを見極めるのは時期尚早と言えそうだが、携帯電話利用者の立場からすれば、過去の海外での巨額M&Aの失敗経験を生かし、より安くより便利にサービスを受けられることにつながるような今後のM&A戦略に期待したい。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

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