DDホールディングス<3073>は、居酒屋企業の中でもM&A戦略を推し進めていることで有名な企業。ダイニングカフェ「アロハテーブル」を手掛けるゼットンや、和食居酒屋「茶茶 花」などの多彩な業態開発で知られる商業藝術を立て続けに子会社化。さらに、2017年12月には「瓦カフェ」のSLDに対して公開買い付けを行いました。M&Aを重ねることで店舗数が拡大するだけでなく、居酒屋、カフェ、和食、結婚式場など、ポートフォリオが強固なものになっています。その結果、業績がどのようになったのか検証しましょう、という話です。この記事では以下の情報が得られます。

  • ①DDホールディングスのM&A効果と今後の改善ポイント
  • ②売上高が同規模の外食企業チムニーとの比較
アロハテーブル
買収した「アロハテーブル」


ゼットンと商業藝術の四半期売上高押し上げ効果は44億8300万円

まずは、DDホールディングスの直近の通期決算を見てみましょう。

※( )は前期比

売上高経常利益
2019年2月期予想510億7800万円(13.3%増)25億9700万円(16.8%増)
2018年2月期450億7700万円(47.8%増)22億2300万円(54.8%増)
2017年2月期305億900万円(2.3%増)14億3500万円(61.4%増)

DDホールディングス決算短信より

2018年2月期の売上高は前期比47.8%増の450億7700万円と大幅続伸となりました。押し上げ効果が高かったのは、もちろん買収したゼットンと商業藝術によるもの。2社は2018年2月期第2四半期から連結子会社化されています。2018年2月期は前期比で145億6800万円売上高が伸びています。このうち、M&A効果は130億1100万円と、およそ89%を占めています。2019年はゼットンと商業藝術が通期で売上に寄与するため、500億円台にのっかることができそうです。

とはいえ、高い資金を投じて買収すれば、売上が良くなるのは当然。買収したことで、原価率や販管費に影響が出てきます。そのあたりを確かめるには、直近の2019年2月期第1四半期の業績を見るのが良さそう。買収前と後との比較が正確にできるためです。こんな感じ。

売上高経常利益
2019年2月期第1四半期126億8200万円(60.5%増)
5億5800万円(20.8%減)
2018年2月期第1四半期79億100万円(5.2%増)7億400万円(91.2%増)

DDホールディングス第1四半期決算短信より

四半期の売上高は前期比60.5%アップです。売上高は47億8100万円上乗せですが、2社によるM&Aの積み上げ効果は44億8300万円。93%が買収による効果です。気になるのは経常利益が20.8%減少していること。

問題点はこの2つ。

  • ①ゼットン買収を引き金とした婚礼施設の開業
  • ②ゼットン、商業藝術の売上原価率の悪さ

                          

1つ目から。DDホールディングスは、ゼットンを買収したことをきっかけとして京都に婚礼施設をオープンしました。開業したのは2017年9月。この結婚式場は先行投資が膨らんでおり、2019年2月期第1四半期は6900万円の赤字となっています。現時点では原価コントロールができていません。

2つ目。商業藝術は様々な業態を展開することに強味を持つ企業。関東関西で地域特性に合わせた店舗を展開しているために生産性が下がり、原価率悪化の主要因になっていると考えられます。DDホールディングスがもともと運営していた、「アリスファンタジーレストラン」「熱中屋」「隠れ房」など、既存店の原価率は20.7%。業界水準の30%と比較すると非常に良い数字。しかしながら、ゼットン、商業藝術、結婚式場だけを見ると、売上原価率は30.4%にまで悪化しているのです。

その結果、国内飲食事業の原価率は、2社買収前と比べて24.4%と3.7ポイント悪化しているというわけです。

国内飲食事業の業績と主要係数はこんな感じです。

▼国内飲食事業

2018年2月期第1四半期2019年2月期第1四半期
売上高54億2300万円100億3800万円
営業利益7億6100万円8億6300万円
営業利益率14%8.6%
原価率20.7%24.4%

決算説明資料より

DDホールディングスは自社が築いた流通網をゼットン、商業藝術に流し込み、いち早く原価率改善に取り組む必要があります。同社は2017年12月に瓦カフェを運営するSLDに対してTOBを仕掛けていました。この会社もカフェや食堂、ダイニングなどを15業態以上、64店舗展開しています。商業藝術と同じく、原価管理の難しい企業。こちらのテコ入れも必要です。DDホールディングスは売上高1000億円を目標に掲げていますが、原価率の改善などの基盤整理ができるまで、しばらくM&Aは行わないと予想されます。