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【企業力分析】ペッパーフードサービス 次の一手を財務分析指標から読む
今回は、見事V字回復を達成された「ペッパーランチ」や「いきなりステーキ」を店舗展開するペッパーフードサービスの企業力を分析してみました。
中古厨房機器販売のテンポスホールディングス<2751>の子会社あさくまが、2018年1月15日、九段下に新業態「やっぱりあさくま」をグランドオープンしました。驚くべきは、郊外型ロードサイド系として展開していたあさくまが、都心に店舗をオープンしたということ。そして、「リブロースステーキ1グラム6.9円」という、匠の技とも言えるほど「いきなり!ステーキ」を”オマージュ”している点です。
森下篤史会長は自身のFacebookで、いきなりステーキに向こうを張ると、対抗意識バリバリ。この仁義なき戦いの果てには、何があるのでしょうか。そうです、その先は待ちに待ったあさくま上場の鐘が鳴り響くのです、という話です。
この記事では、以下の情報が得られます。
①やっぱりあさくまの狙い
②テンポスホールディングスの戦略
やっぱりあさくまは、15日に九段下でグランドオープンしました。ダーツゲームに勝つと、ステーキやハンバーグが無料になるなどのキャンペーンを展開。初日は長蛇の列ができました。
あさくまは、新業態に相当な力を入れています。まず、グランドオープン前に記者を招いてレセプションパーティーを行っています(プレスリリース)。ホテルや大規模なレストランならともかく、ステーキハウスで大々的なお披露目会を開催するのは、非常に珍しいです。あさくま業態では初めての試みとなります。
ブランドづくりにも注力。認知拡大にインスタグラマーを投入しました。モデルなどとして活躍する若い女性たちが、森下会長とともに「やっぱりあさくま」のプレートを掲げる画像がInstagramにアップされています。メインターゲットとなる30~40代男性とともに、若い女性客の取り込みにも力を入れている様子。都心に旗艦店を投下し、いっきに知名度を上げようとしています。
やっぱりあさくまは月商1500万円、今年中に20店舗の展開を目標として掲げています。月商の目標値は、いきなりステーキとほぼ近い数字。出店ペースは、1年で200店舗出店すると鼻息を荒くする、いきなりステーキと比べれば小規模なものの、65店舗展開のあさくまから考えると、数字は大きいですね。やっぱりあさくまにかける想いを、ひしひしと感じます。
それもそのはず。あさくまは2014年に上場申請を行い、1年後に上場する計画を立てたものの、あえなく頓挫。テンポスグループの子会社初の上場はなりませんでした。なぜか。あさくま業態だけでは業績が悪いからです。
直近、上期(2017年4~9月)の業績はこんな感じ。
売上高 | 経常利益 | 純利益 | |
---|---|---|---|
2018年3月期上期 | 38億1800万円 | 4億7200万円 | 2億8700万円 |
2017年3月期上期 | 34億1600万円 | 4億8800万円 | 2億9400万円 |
増減率 | 11.7% | △3.2% | △2.3% |
八王子と岐阜に新規出店して売上増は確保しているものの、利益はガタ落ち。既存店の売上高の伸びが悪いことと、人件費高騰の煽りを受けているようです。
今回は、見事V字回復を達成された「ペッパーランチ」や「いきなりステーキ」を店舗展開するペッパーフードサービスの企業力を分析してみました。