シダックス<4837>が「カラオケ館」のB&Vに、カラオケ事業を売却します。シダックスは第一興商<7458>に次ぐ売上高を誇る業界大手。渋谷のタワーレコード前に旗艦店を出店するなど、圧倒的な存在感を示していました。しかし、同社の2018年3月期のカラオケ事業は10億3800万円の赤字。その前の期は5億8300万円の赤字で、年を重ねるごとに損失は拡大していました。一番の原因は郊外に大型店を出店し、料飲で稼ごうとしたビジネスモデル。会社で宴会した後はみんなで仲良くカラオケ。という時代は終わり、仲の良い友人だけでこじんまり、あるいは一人で好きなだけ歌いたいという新たな需要が取って代わります。シダックスのカラオケ事業の売却は、箱ものビジネスの難しさを突き付けてきますね、という話です。この記事では以下の情報が得られます。

 

  • ①シダックスのビジネスモデル
  • ②カラオケ業界の伸びしろ

 

カラオケ事業の依存度は28%から12%へと縮小を続けていた

まずはシダックスのカラオケの業績から。

売上高セグメント損失
2017年3月期198億2700万円5億8300万円
2018年3月期176億2000万円10億3800万円

売上高は20億円超落ち込んで、赤字幅は拡大しています。2018年3月期は頑張って赤字をなくそうと201億3900万円の売上を目指していましたが、25億円も足らないという残念な結果に。これ以上続けても採算ラインにのせるのは難しいのは明白。なぜなら、シダックスは郊外に大量の大型店を作ってしまったからです。大箱に少人数客ばかりを入れることになり、固定費ばかりがとられる結果になりました。仮にリニューアルに投資をしたとしても、その資金が回収できる保証はない。その判断が今回の売却へと繋がったと考えられます。

シダックス=カラオケというイメージが世間では定着していますが、実はカラオケ事業が全体に占める割合は12%。依存割合はそこまで高くありません。むしろ、2000年代初頭から少しずつ閉店をしてスリム化し、企業努力でこの比率へと下げていったという方が正しいでしょう。カラオケ事業はもはやお荷物だったのです。

シダックス「決算概況」
シダックス「決算概況」

では、大型店で勝負をかけたシダックスのカラオケ事業が、業界内でどのようなポジションを占めていたのか、見てみましょう。まずは各社売上高の比較と店舗数の比較です。

※表は2015年のデータを基となっています。

三菱住友銀行 「カラオケ業界の動向」
三菱住友銀行 「カラオケ業界の動向 売上ランキング」」
三井住友銀行「カラオケ業界の動向」
三井住友銀行「カラオケ業界の動向 店舗展開」

これを見ると、シダックスは売上高で2位を獲得していますが、店舗数は188と第一興商の473と比べると非常に少ないです。1店舗あたりの売上高は第一興商が1億1900万円、シダックスが1億6000万円です。1店舗当たりの売上高が4000万円も違います。

1959年創業のシダックスは学校給食や社員食堂を手掛けていた企業。1993年にカラオケ事業に参入した際も大人数客を獲得し、美味しい食事を提供して高単価を稼ぐ戦略を進めました。そういう経緯もあり、「レストランカラオケ」を謳っていたのです。競合他社が数十坪の狭い土地でも出店を行う中、高単価を見込んでいたシダックスは全国に300坪以上の大型店を開発していました。固定費ばかりが膨らむ構造になっていたのです。