グルメSNS「シンクロライフ」を運営する株式会社GINKAN(以下:ギンカン)が、ポイントサイトサービスに強味を持つセレス<3696>と資本業務提携を締結しました。これにより、ギンカンは8000万円の資金調達に成功したことになります。面白いのはその中身。今回の第三者割当増資で発行した株式には、トークンへの転換権が付与されているのです。

ギンカンは、2017年に飲食店の口コミSNS「シンクロライフ」を運営する子会社SynchroLife Limitedを香港法人として設立。独自暗号通貨「SynchroCoin」によるICOを実施していました。セレスはトークンへの転換権を行使することで、SynchroCoinを得られることになります。すなわち、セレスはスタートアップエグジットの鉄板2択、IPOとM&Aに縛られることがなくなったのです。暗号通貨によるキャピタルゲインという第3の道を切り開いたことになりました。うーん、よくわからん。という方に向けた記事です。

この記事では、以下の情報が得られます。

  • ①ICOとは何か?
  • ②ギンカンは何をしている会社か?
  • ③シンクロライフとは何なのか?
  • ④資本業務提携の狙い
シンクロライフ
食べログ、レッティを超えられるか


2000万トークンが口コミサイトの”やらせ問題”を解決

ギンカンがどのような会社なのか、ICOの説明、今回の資本業務提携の詳細、提携で見えてくる両社の未来。その順を追って説明します。それでは、ギンカンとはどのような会社なのか。

同社はスマートフォンアプリの企画・開発を行う企業です。そこにブロックチェーン技術を導入しているところがポイント。トークンの発行やICOによる資金調達技術に長けているところが、他社との差別化になっています。主力アプリは飲食店の口コミSNS「シンクロライフ」。もともとはエーアイパシフィックというスタートアップ企業が運営していましたが、創業者である神谷知愛氏のMBOにより新会社ギンカンに引き継がれました。

「シンクロライフ」は価値観の近いユーザーが好みの店を紹介しあうという、言ってしまえばどこにでもありそうなアプリ。ギンカンに引き継がれて、SynchroCoinというトークンを付与したことで内容は様変わりします。

ユーザーが良質なレビューや飲食店の情報を書き込むと、その対価としてトークンが発行されます。シンクロライフはゲームの経験値に近いシステムを導入しており、投稿のない店舗への書き込みや、別のユーザーから多くの「行きたい」を獲得すると、経験値が蓄積される仕組みになっています。これにより、ユーザーがシンクロライフを積極的に活用するインセンティブが働くというわけです。

実はここには背景があります。食べログの有名人「うどんが主食」の文春砲です。食べログの口コミで人気を獲得していた「うどんが主食」が、飲食店から過剰な接待を受けていたと週刊文春が報じたもの。口コミグルメサイト食べログのやらせ問題が表面化し、インターネット界隈では炎上の嵐が吹き荒れることとなりました。口コミメディアの信ぴょう性はいっきに落ちたのです。この一件で露呈したのは、書き込む側が「これ以上ボランティアじゃやってらんねぇ」という思いを抱えていたということでしょう。

口コミサイトやグルメブロガーは、ほとんどのケースで「好き」がモチベーションになっています。飲食店が好き、食べるのが好き、おいしいお店を多くの人に知ってもらいたいというピュアな心で始めるのです。ところが影響力が大きくなってくると、自分の紹介能力がカネになることに気づきます。それがやらせへと結びつくのです。

シンクロライフは全体の20%に該当する、2000万トークンを常時確保しており、そこから一定量をユーザーに分配するように設定されています。先ほどの経験値に応じたトークンが定期的に入手できるというわけです。これにより、やらせに走る可能性は低くなります。また、シンクロライフと提携している飲食店で食事をすると、キャッシュバックのような形でトークンが入る仕組みにもなっており、飲食店側も集客ツールとしてのメリットが高いものとなっています。店舗側の満足度も上がれば、やらせをしかけようとする気持ちも抑えられるというわけです。

さて、ギンカンは2017年にシンクロライフのICO(イニシャル・コイン・オファリング=仮想通貨売却による資金調達)を行いました。香港法人SynchroLife Limitedを設立し、市場から資金を調達しています。調達額は不明ですが、1億SynchroCoinを発行し、55%が販売された模様です。同社はICOを行う過程で、元サイバードホールディングス代表取締役会長の小村富士夫氏などから、3000万円の資金調達を行うなど、周囲の期待も高いものでした。

シンクロライフ
トークンによってアプリ内の動きが活発に