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投資ファンドのエンデバーは、ピザハットを美味しく料理することができるのか?
5月10日、日本KFCホールディングスが日本ピザハットを投資ファンドのエンデバー・ユナイテッドに売却すると発表しました。ピザ業界の競争激化が背景。企業価値を高めるという観点から投資ファンドへの売却を決めたようです。2017年にようやく黒字化を実現。コストカットによる収益の改善を図っていました。ではなぜこのタイミングで売却するのか、という話です。
「ケンタッキーフライドチキン」でお馴染み日本KFCホールディングス<9873>が、和食居酒屋「えん」などを運営するビー・ワイ・オーの株式を25%取得し、資本業務提携を行います。ビー・ワイ・オーは主力の「えん」を運営する他、定食屋「おぼんdeごはん」などの業態を展開。和食を軸に全国の駅ビルやショッピングセンターに出店しています。”お荷物”と化した「ピザハット」売却を決めた日本KFC。次は和食業態に狙いを定めたようです。今度こそ失敗はできないですね、という話です。
この記事では以下の情報が得られます。
①ビー・ワイ・オーの上場観測
②日本KFCの成長余地
③日本食ブームは本物か
日本KFCがビー・ワイ・オーに出資した理由は2つです。
①和食業態への参入
②ビー・ワイ・オーの上場による株式価値向上
まずはビー・ワイ・オーについて説明します。
この会社は売上高146億円(2017年3月期)、居酒屋「えん」が主力の会社です。国内111店舗、海外(台湾)で6店舗を展開しています。
1996年に「えん」1号店を池袋に出店。チェーン系居酒屋よりも客単価を若干高く(5,000円)し、店づくりにもこだわったことで、大衆居酒屋と接待系居酒屋の中間という特異なポジションを獲得。人気を博します。
2000年代に入り、同様の居酒屋業態が飽和し始めたタイミングで、早々と軸をずらしました。定食・ファーストフードへと参入したのです。
そこで世に送り出したのが「だし茶漬け えん」、「おぼんdeごはん」です。特に「おぼんdeごはん」は”当たり業態”となりました。2008年7月に新宿ミロードに出店した後、およそ10年で39店舗まで拡大しています。ターゲット層が30~40代男性から20代女性へと広がり、ポートフォリオが強固なものとなります。
同社にいち早く目をつけた会社がありました。PEファンドの「クレアシオン・キャピタル」です。旧JAICアセット・マネジメントという会社で、日本アジア投資の100%子会社です。ROEの低い企業を買収して価値向上を行うことに強味を持っています。クレアシオンは、2015年10月にビー・ワイ・オーの過半数を超える株式を取得しました。
ビー・ワイ・オーの求人によれば、2019年に上場を目指すとのこと。東京オリンピックのことを考えれば、ある程度の買い手はつきそう。
▼売上高推移
2013年3月期 | 92億円 |
2014年3月期 | 112億円 |
2015年3月期 | 120億円 |
2016年3月期 | 135億円 |
2017年3月期 | 146億円 |
目先の動きとして、日本KFCはビー・ワイ・オーと共同で和食業態のフランチャイズ展開を行うのは間違いないと考えられます。業態の陳腐化で客足の減ったフライドチキンのフランチャイズオーナーは、次の業態を待ち望んでいるからです。
訪日外国人と和食ブームで、今は話に乗りやすいタイミング。更にビー・ワイ・オーが上場を決め込んでくれれば、資産価値向上で「うっはうっは」の一挙両得。
ピザハットの一件で、大株主の三菱商事に激詰めされた過去を、これで清算できるというわけです(※筆者の想像です)。
5月10日、日本KFCホールディングスが日本ピザハットを投資ファンドのエンデバー・ユナイテッドに売却すると発表しました。ピザ業界の競争激化が背景。企業価値を高めるという観点から投資ファンドへの売却を決めたようです。2017年にようやく黒字化を実現。コストカットによる収益の改善を図っていました。ではなぜこのタイミングで売却するのか、という話です。