2016年3月に東証マザーズに上場し、2017年4月に東証一部に指定替えとなったブラス<2424>。創業20年の中堅企業が、ここ2年で大躍進を遂げた一方、業績が振るわない様子が如実に伝わっています。3月14日に発表した2018年7月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比7.2%増の45億4300万円だったものの、経常利益は52.8%減の2億7000万円と低調。昨年買収した結婚式場「ヴィラエッフェ」のリニューアルオープンや、新規出店で売上高を稼ぐ一方、”完全貸切”という顧客目線の会場づくりが災いして利益の出にくい構造になっています。ビジネスモデルの転換を図るか、新たな事業を立ち上げなければ、厳しい状況がこの先も続きそうですね、という話です。

この記事では以下の情報が得られます。

①ブラスのビジネスモデルと上場した理由

②ブライダルビジネスの変遷

オリゾンブルー
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数字で明らかになる1チャペル1バンケットのデメリット

ブラス最大のセールスポイントは、「1チャペル1バンケット」という会場づくりです。通常の会場は1施設の中に2~3。AOKIホールディングス<8214>が運営する「アニヴェルセルみなとみらい横浜」のように、7バンケットを備える会場もあります。結婚するカップルから見た場合、1チャペル1バンケットの貸切タイプの方が満足度が高いのは明らか。一生に一度の晴れの日、他の花嫁がうろちょろする姿は見たくないからです。ブラスは徹底的な顧客目線のビジネスモデルにこだわり、ゲストハウスの完全貸切提供を事業の柱に置いています。

しかしながら、この形では稼ぎにくいのも明白。1チャペル1バンケットだと、1日1施設の施行組数上限は2回。一方、3バンケットの施設をフル活用すれば、1日6回。結婚式の1組単価が350万円だとすると、ブラスの会場の1日の売上高が700万円、3バンケットの会場だと2100万円。しかも、結婚式は繁忙期と閑散期がはっきりしているため、勝負時の春秋に取れるだけ取らなければなりません。稼ぎ時に施行上限に達すると、取りこぼしが起こるのです。もし顧客が「ブラスの結婚式場を利用したい!」という強い要望を持っていれば、分散して閑散期の稼働率が上がり、年間の施行組数も上がるはず。

では、ほぼ同規模のブライダル企業アイ・ケイ・ケイ<2198>と店舗数、年間の施行組数、組単価の平均を比較してみます。どうでしょうか。

店舗数施行組数組単価
ブラス162422378万円
アイ・ケイ・ケイ174384388万円

決算発表より

残念ながら、店舗数がほぼ同じにも関わらず、年間の施行組数はアイ・ケイ・ケイが1.8倍。1施設当たりの施行組数はブラスが151、アイ・ケイ・ケイは257です。

徹底的な顧客目線を追求するブラス。1会場貸切スタイルで他社との差別化を図ろうとしていますが、顧客がそれについてきていません。

更に、組単価も10万円ほど下回っています。完全貸切で従来よりも大人数のパーティーに繋がっている、というわけでもないのです。数字を見ると、1チャペル1バンケットのビジネス的なメリットはないと考えられます。