経営難の総合建設会社を買収 

 この時期、夢真ホールディングスは『ストック&フロー型M&A企業』を標榜し、M&Aを行う為に自社で証券会社まで設立している。

 続いての買収は2006年7月の勝村建設だ。勝村建設は元東証1部上場の総合建設業であり、直近の売上高は41,063百万円。しかしながら東京都が発注した水道工事の入札を巡って同社社員が逮捕・起訴され、地方自治体の指名停止処分によって経営難に陥っていた。2005年9月に民事再生手続きの申立を行った直後から夢真ホールディングスは再生支援を表明しており、このほど新設分割により設立された、いわば新・勝村建設を譲受する形だ。

 これにより夢真ホールディングスは施工部門をも傘下に収め、ワンストップで建設業界に携わることができるわけだが、その対価は当初の予定で71億円。最終契約時点で減額の余地を持たせるも、譲渡側からは満額での債務存在確認請求の訴訟を起こされ、和解を経て65億円に落ち着くが、それでも安くはない金額だ。

 直後に、共に不動産販売のスピリット及びデントハウスの買収を行い、建設業の更に先へと事業の展開を試みる。結果から言うと、スピリットに関しては一度は契約を解除、紆余曲折して社名も変えて買収にこぎつけるが、デントハウスに関しては買収後に財務内容の悪さが明るみに出て追加の第三者割当増資は断念、売主に買い戻させるというてん末となる。

 ただし、円満に買収が成立していたとしても、この後グループ企業として共に歩んだかどうかは怪しい。これまでの買収がウソのように、この直後から夢真ホールディングスは矢継ぎ早な子会社の売却に転じる為だ。

拡大路線一転、矢継ぎ早に売却

 まず手始めに2006年9月に売却したのは、2005年12月に買収し再生を進めていた東亜建設技術である。保有期間は一年に満たず、従業員の立場を思うといたたまれないが売却先が事業ノウハウのある同業者であることが救いだろうか。次いで2007年2月には旧丸紅設備等が合併した夢真総合設備。事務所の統合や人員整理等により今期は10億円近い利益が出ると見込まれていたが、夢真ホールディングスは売却を断行した。譲渡先はファンドであり、譲渡金額は非公開ながらも25億から30億の売却益が出たとみられる。この時期夢真ホールディングスの会長は売上高よりも売却による利益を優先すると語る。

 その後も勝村建設、夢真証券、夢真キャピタル等と売却が続く。とりわけ夢真キャピタルに関しては、売却額はさほどではなく、多額の利益は見込めないものの、折しも新会社法の施行により連結基準の変更があった。一度売却がご破算になっても更に二度目の相手を探し売却を急いだ背景には、子会社の定義が形式基準から実質基準に変わったことで、業績の振るわない投資先が連結対象に含まれかねないこともあったとされる。