【財務分析】脱ジェットコースター経営、自己資本比率60%超に上昇

 M&Aの成果を振り返りたい。2005年から2006年にかけての売上高の伸びは目覚ましい。2005年9月期の売上が6,499百万円であるのに対し、2006年9月期は41,554百万円と約6倍だ。もっとも、新設分割設立会社とはいえ民事再生前には41,000百万円を超える売上を誇った勝村建設を譲り受けているのだから、売上の伸長は至極当たり前のことである。

 一方で、営業利益は伸び悩み、2005年9月期から2006年9月期はわずか500百万円足らず増加したに過ぎない。増加と言えば聞こえは良いが、これを売上高営業利益率にしてみると実に5.4%から2.0%へと半減しており、楽観は出来ない状況がよくわかる。ちなみに売上高経常利益率で見るならば、11%から3%へと下げ幅は尚深刻だ。


 さらに、毀損したのは収益性のみではない。夢真ホールディングスはブレイントラスト以外全ての買収を現金対価で行っており、これには約200億円を要したとされる。この資金調達は他人資本に依存しており、長短共に借入金が増加。ここに社債も加えてネットデットの推移を見てみたグラフは次の通りだ。当然ながら過少資本を招き、2006年9月期の自己資本比率はわずか3%にまで低下している。こうなるともはや買収した企業を再生する為に必要な資金の調達さえも難しくなり、自社の財務の立て直しが喫緊の課題となる。ここから売却に舵を切ることとなる。

 海外子会社の清算や子会社の吸収合併等、再編を進めて迎えた2009年9月期、夢真ホールディングスの決算書には連結財務諸表がない。関連会社を整理して夢真ホールディングス単体となったこの期の売上高は5,482百万円。M&Aを行う以前に近い水準に減少したが、自己資本比率が44.1%にまで持ち直したこと、営業利益率が13.8%と上場後最高値を記録したこは見過ごせない。買収での失敗を売却によりきれいに清算したと言える。

 その後、2010年9月期を底に業績は回復基調に転じている。2016年9月期の売上高は前期比10%増の232億円。売上高営業利益率は10.5%とフタ桁を回復。自己資本比率は65.7%に上昇した。事業の選択と集中が進み、身の丈にあった買収戦略に切り替えたことが奏功している。

 なお、事業の取捨選択が激しくセグメント情報がよく入れ替わるため、推移を見るのにあまり適さず、今回はセグメント毎の損益は取り上げない。参考として、象徴的な時期のセグメント別売上高の構成を一部掲載する。