【M&A戦略】朝令暮改もいとわぬ迅速な軌道修正

夢真ホールディングスの沿革と主なM&A

年月 内容
2004年11月 持株会社体制に移行。
2005年5月 環境プラントの運転維持管理事業を行う朝日エンジニアリング(売上高1,755百万円)の株式100%を900百万円で買収。
2005年7月 建設コンサルタント業の日本技術開発(売上高8,650百万円)にTOBを仕掛ける。株式の46.98%をおよそ1,920百万円で取得を目指すが、後に失敗。
2005年10月 総合営業支援事業を手掛けるブレイントラスト(売上高1,062百万円)を簡易株式交換(1:1324)により完全子会社化。
2005年11月 空調・給排水・電気設備工事業等を手掛ける丸紅設備(売上高17,399百万円)の株式70.37%を買収。買収金額は非公開。
2005年12月 債務超過の建設コンサルタント業の東亜建設技術(売上高1,179百万円)の株式70.5%を買収。東亜建設技術は西日本シティ銀行に金融支援を要請。
2006年1月 子会社の夢真総合設備(旧丸紅設備)、近畿工業、夢真ファシリティを夢真総合設備を存続会社として合併合併比率は1:17.15:4.17。
2006年6月 エイトコンサルタントのTOBに対し、日本技術開発の株式22.22%を応募。
2006年7月 勝村建設(新設分割前売上高41,000百万円)の株式100パーセントを譲受。譲渡金額は当初71億100万円から、13億100万円の範囲で減額を検討。
2006年7月 マンション販売に強みをもつスピリット(売上高4,529百万円)の株式68.75%を6億5千万円で買収。
2006年9月 東亜建設技術(売上高1,234百万円)の株式100%を建設コンサルタントのシーエスアンドティーに売却。売却益は2.8億円とされる。
2006年11月 前出のスピリットとの株式譲渡契約を解除。
2007年1月 高級建売・注文住宅の販売を手掛けるデントハウスの株式の33.3%を1億1,268万円で買収、持分法適用会社化。
2007年2月 前出のスピリットが新設分割により設立した夢真不動産販売の株式100%を6億5百万円で買収、完全子会社化。
2007年2月 子会社のアルシオンと夢真不動産販売を合併。アルシオンが取得する宅地建物取引業の免許を引き継ぐことを目的とし、アルシオンを存続会社とし、社名は夢真不動産販売とする。
2007年2月 夢真総合設備(売上高9,555百万円)の保有全株式74.59%を事業系ファンドへ譲渡。譲渡金額は非公開。
2007年2月 子会社の勝村建設と夢真コーポレーションを合併。勝村建設を存続会社とする。
2007年2月 子会社で事業が類似する夢真コミュニケーションズと夢真テクノスタッフサービスを合併。夢真コミュニケーションズを存続会社とする。
2007年3月 勝村建設(売上高2,353百万円)の全株式100%を事業系ファンドへ譲渡。譲渡金額は非公開。
2007年3月 財務内容の厳しさから、デントハウスの保有全株式33.3%を115百万円でデントハウス社長へ譲渡。(2009年8月時点で決済未了、その後のリリースは不明)
2007年5月 夢真証券(売上高144百万円)の株式100%をハーベストフューチャーズへ300百万円で譲渡。
2007年5月 ベンチャーキャピタル事業を手掛ける夢真キャピタル(売上高53百万円)の株式100%を個人へ譲渡。譲渡金額は非公開。
2007年5月 住宅検査夢真(売上高56百万円)の保有全株式98.8%を個人へ譲渡。譲渡金額は非公開。
2007年5月 夢真不動産販売(売上高非公開、赤字)の株式100%を個人へ譲渡。譲渡金額は非公開。
2007年5月 子会社の夢真を吸収合併
2007年8月 不動産業を手掛ける夢真アーバンフロンティア(売上高292百万円)の株式100%を478百万円でタマホームに譲渡。
2007年9月 環境プラント関連の事業を手掛ける夢真エンジニアリング(売上高602百万円)の株式100%を2,290百万円でジャフコに譲渡。
2007年11月 決済未了により前出の夢真キャピタルの個人への株式譲渡契約を解除。
2008年2月 夢真キャピタル(直近売上高40百万円)の株式100%をコンサルティングも手掛ける持株会社であるBBHに45百万円で譲渡。
2009年8月 破産手続き申立てを行ったアイゼックス・アルファより技術者派遣事業の一部を買収。買収金額は5百万円から9百万円の範囲内で、同年9月18日時点で承継された派遣契約数により確定。
2009年8月 保育園事業を目的として子会社我喜大笑を設立。
2009年11月 マーケティング事業を手掛け、将来的には医師及び看護師を対象とした研修事業等を視野に入れるアークウィズ(売上高62百万円)の株式を第三者割当増資引受けにより66.7%を買収。引受総額は20百万円。
2010年6月 医療及び医療施設の経営に関するコンサルティングを目的に子会社の夢真メディカルサポートを設立。
2011年1月 デジタルサイネージ事業を手掛けるユニテックソフト(売上高非公開)の株式の90%を27百万円で買収。
2011年5月 TOBにより、技術者派遣を行うフルキャストテクノロジー(売上高4,290百万円)の株式の83.56%を1,707百万円で買収。
2014年7月 建築総合工事請負業を手掛け、再生手続開始申立を行っていた岩本組の新設分割設立会社(建設事業部分)の株式100%を買収。売上高、買収金額は非公開。
2015年6月 人材紹介、外国人技術者の活用を目的に子会社の夢エージェントを設立。
2015年6月 子育て支援事業及び介護事業を運営する我喜大笑(売上高210百万円)と総合建設事業の岩本組(新設分割設立会社、売上高不明)の株式100%を投資業を行う佐藤総合企画に譲渡。譲渡金額は各15百万円、70百万円。
2015年7月 子会社の夢エージェントにて、海外人材の採用基盤を有する採用支援事業者のBuzzBoxよりヒューマンキャピタル事業(技術者に特化した採用支援・海外人材の活用支援/売上高64百万円)を380百万円で買収。
2016年5月 人材の教育・育成を目的として夢エデュケーションを設立。
2016年6月 ソフィアメディクスが新設分割し、Fintechを駆使したトレードサービスを運営するソーシャルフィンテック(該当事業売上高171百万円)の株式80%を352百万円で買収。子会社の夢テクノロジーにて20%を88百万円で買収。
2016年7月 子会社の夢エデュケーションにより、建設業向けのシステム開発を行うギャラクシー(売上高149百万円)の株式の56.2%を買収。買収金額非公開。
2016年8月 子会社の夢エデュケーションにより、一般財団法人建築技術情報センターから資格講座事業(売上高177百万円)を買収。買収金額非公開。
2016年10月 スポーツ人材事業を目的にエクスドリーム・スポーツを設立。
2016年11月 公開買付により、IT関連のサポートサービスを行う日本サード・パーティ(売上高47億円)の株式13.09%を40億円で買収。

 買収と譲渡を重ねた同社のM&A遍歴を見て行こう。

 上場後、夢真ホールディングスは顧客のニーズの多様化に対応すること、グループ内での健全な競争を行うことを目的として持株会社体制に移行する。同時に掲げたのが周辺事業への積極的な進出であり、その一環として手始めに環境プラントの維持管理等を行う朝日エンジニアリングを買収した。

 その次に大胆にも白羽の矢を立てたのは建設コンサルティングを行う日本技術開発である。当時を知る人には、上場間もない夢真ホールディングスを一躍有名にしたTOBとして印象深い一件だ。

 民間事業中心の夢真ホールディングスに対し、日本技術開発は公共事業が中心であり、事業領域の補完として申し分ないというのがTOBの目的である。しかし、多額の現預金を持ちながらも株価に割安感があり、かねてより買収を警戒していた日本技術開発は事前警告型の買収防衛策を導入。これは事前に経営計画を提出しない企業からのTOBに対しては最大で5倍までの株式分割を行うことが可能というものであり、当時の松下電器産業等も同様の防衛策を導入していたことや、初の買収防衛策導入企業への敵対的TOBの事例であること等から世間の注目が高まった。

 夢真ホールディングスは買収防衛策を踏まえた上でTOBを公表。日本技術開発の株式分割実施後、夢真側は東京地裁に差し止め請求を行うも却下され、さらにはホワイトナイトとして現れたエイトコンサルタントの友好的TOBに妨げられてTOBは失敗に終わる。当時の夢真ホールディングスの社長が引責辞任をする始末となった。

 一連のTOB合戦は最終的には翌年6月、エイトコンサルタントのTOBに夢真ホールディングスが応募する形で幕を引くのだが、この間にも夢真ホールディングスは丸紅設備及び東亜建設技術の2社を買収。東亜建設技術は公共工事を主体としていたが、市町村合併等による公共事業の縮小に対応し切れず、経営難の状態にあった。その後日本技術開発の買収は頓挫したものの、建設業の最上流である建設コンサルタント領域に進出するという悲願を果たす。