熊谷組の筆頭株主に  「木化」事業に弾みも

1691年に住友家の別子銅山備林を目的に創業した。以後、住友グループの林業経営を手がけ、終戦後の財閥解体を経て1948年に東邦農林と四国林業が設立され、1955年に両社が合併して住友林業が誕生した。1956年に外国産材の輸入を始め、1970年にインドネシアで合板を中心とした建材製造に着手。注文住宅への本格参入は1975年のことだ。ちなみに、山林保有面積は国内4万6000ヘクタールで、民間企業として4番目の山持ち。海外ではパプアニューギニア、インドネシア、ニュージーランドなどに約23万ヘクタールの山林を所有する。

銅山における木材の調達から始まった事業は植林を繰り返す中でやがて山林事業となり、製造・流通事業を経て、さらに住宅事業に拡大してきた。文字通り、「木」をキーワードに川上から川下まで事業領域を広げてきたといえる。近年は再生可能エネルギー分野に進出し、住宅建築に伴い発生する廃材、山林での間伐材など未利用木材を活用したバイオマス発電に北海道をはじめ4カ所で取り組んでいる。2017年には神戸市を中心に介護付き有料老人ホームなどを運営する神鋼ケアライフを子会社化したが、切り口の一つが「木」。内装の木質化など木や緑の活用によって健康・情緒面で効果を引き出す研究成果を施設づくりに反映させる考えだ。

「既存の業界の枠組みを超え、独自性のある業界ポジションの構築と、新しい市場の創出、収益機会の拡大を目指す」。2017年11月、中堅ゼネコンの熊谷組<1861>と資本業務提携した際、住友林業はこう狙いを説明した。木造建築や緑化事業、バイオマス発電、海外事業などで互いのノウハウを持ち寄り、事業拡大につなげる。熊谷組株式20%を保有し筆頭株主になると同時に、熊谷組は住友林業に2.85%出資した。

住友林業は木材や森林の価値が見直される中、非住宅建築物の木化(木造化・木質化)事業に力を入れている。市川晃社長は「大規模な木造建築物で圧倒的な地位を確立するにはゼネコンの機能が不可欠」と提携の狙いを強調する。5年後に両社で売上高1500億円、営業利益100億円規模の提携効果を引き出すとしており、両社の本気度が試される。

「木」…M&Aのキーワードに

今後、国内の住宅市場が縮小に向かう中、海外事業の深耕はもとより、都市開発や介護、エネルギーなど新規分野の育成が持続的な成長を維持するうえで欠かせず、国内外で新たなM&A出動が予想される。その際、やはり「木」が重要なキーワードとなりそうだ。

住友林業が筆頭株主になった熊谷組の本社(東京都新宿区)

文:M&A Online編集部

この記事は企業の有価証券報告書など公開資料、また各種報道などをもとにまとめました。