【サカタのタネ】M&Aで世界にビジネスの「タネ」をまく

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最大手企業ですら「買収される」種子ビジネス

そもそもサカタのタネが海外へ進出したのは、前述のように日本の気候が厳しかったためという。種子を安定供給するための適地適作を狙って米国へ進出したのだ。その後、年間通じて種子を生産するために季節が逆転する南半球へ進出。南北の種子栽培拠点で相互補完して冬の「タネ切れ」を防ぐ。

研究開発の迅速化を狙ったM&Aにも取り組んでいる。2017年10月にはヨルダンのキュウリ育種会社を買収し、子会社化した。キュウリをグローバル戦略品目と位置付け、研究開発の加速とグローバル供給体制の強化を狙う。

しかし、世界に目を転じればサカタのタネの世界シェアは2%以下で、同26.0%の米モンサントや同18.2%のデュポン・パイオニア、同9.2%のスイス・シンジェンタに比べて大きく見劣りする。人口が増加する新興国市場はこうした巨大種子販売会社が入り乱れる「激戦区」になるのは確実だ。厳しい日本の気候で開発されたサカタのタネに「質」の優位性はあるが、低価格競争に有利に働く「量」の優位性は弱い。

海外の巨大種子ビジネスとのグローバル競争で生き残るためには、単に海外子会社を新設するだけは遅い。一から市場を創り上げていかなければならないからだ。「市場ごと買い取る」M&Aによるスピーディーな海外展開とシェア確保に取り組む必要がある。

すでに種子ビジネスのM&Aは「業界内」に留まっていない。2016年9月に、農薬も手がける独バイエルがモンサントの買収を発表。660億ドル(約7兆円)に達する超大型買収で、2018年3月に欧州連合(EU)から承認を受けた。残るは米国とロシアの政府当局からの承認待ちとなっている。

モンサント
「種子の巨人」モンサントも買収される(Photo By Karen Eliot)
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