海外M&Aで「時間」を買う

鹿島の2019年3月期連結決算は純利益が1098億円(前期比13.4%減)の減益となった。東京オリンピック関連工事や大都市圏での大型再開発案件などが目白押しで、売上高こそ1兆9742億円(同7.8%増)となったが、先行きは不透明になっている。

鹿島はM&Aを駆使して海外市場での成長を目指す。
(鹿島本社ビル、同社ホームページより)

好調な建設需要を支える歴史的なゼロ金利政策による「カネ余り」現象も、そう長く続くわけではない。今後も人口が増えるか、あるいは人口減が緩やかで、安定した経済成長が見込める国での事業展開は必須だ。

現地の事情に通じていないと、海外事業でとんでもないリスクを抱えるのはどの業種でも同じだ。もちろん海外企業とのM&Aにおいても現地や買収候補企業の事情を十分に知っておく必要はある。とはいえ、現地で一から事業を立ち上げるリスクに比べると、デューデリジェンスの手順さえ間違えなければ海外企業とのM&Aのリスクは低い。

さらに海外企業とのM&Aは、現地での実績や人脈、ノウハウを直ちに手に入れられる「時間を買う」効果もある。グローバル化とIT化の進展で、世界経済の波は短期間のうちに大きく上下するようになった。

「海外事業をじっくり育てる」という従来の戦略では、育つ前に大幅な赤字を抱え込むことになるだろう。それでも国内事業が長期間にわたって成長を続けるのなら、海外事業の黒字転換を気長に待てるかもしれない。が、すでに日本の国内市場は、あらゆる分野でそのような楽観的な状況にはないのだ。

海外事業の失敗に学んだ鹿島の海外M&Aへのシフトは、グローバル展開の強化を目指す日本企業にとって大いに参考になるだろう。