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【ユニ・チャーム】大型M&Aで“アジア制覇”に一歩前進か

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アジアの売上が日本を上回る

11月5日発表した2018年1〜9月期の業績(国際会計基準)は、売上高が前年同期比7.0%増の4981億円、営業利益が同13.8%増の758億円と過去最高を更新した。売上高、利益ともアジアが好調に推移した。海外売上比率は60.2%。Eコマース(電子商取引)を通じた海外販売を含めると64%まで跳ね上がる。

1〜9月期の売上高を地域別にみるとどうか。日本2004億円(前年同期比5.6%増)、アジア2199億円(同9.2%増)、その他(米国、サウジアラビア、ブラジル、オランドなど)777億円(同4.6%増)と、アジアだけですでに日本の売上高を上回る。営業利益では日本419億円、アジア295億円と大きな開きがあるが、伸び率は日本が0.3%の微減であるのに対し、アジアは中国、タイ、インドネシアなどでの収益改善が寄与し40%を超える大幅増益となった。

18年12月期の通期予想は売上高7.1%増の6870億円、営業利益8.2%増の940億円。従来見通しを据え置いた。

サウジ、豪、米でも相次ぎM&A

一連の海外事業展開のエンジンとなったのは、やはりM&Aだ。2005年、サウジアラビアの衛生用品大手、ガルフ・ハイジェニック・インダストリーズ(リヤド)を子会社化した。1993年から同社に紙おむつに関する技術供与を行うなど長年、緊密な協力関係を築いていた。2017年には3カ所目の新工場が完成し、紙おむつや生理用品の増産体制を整えた。

中東は人口増に伴い衛生用品市場が急速に膨らんでおり、ガルフはその橋頭保を担う。2012年にはエジプトでも紙おむつの生産に乗り出した。

2008年には、豪州の紙おむつ2位、オーストラリア・ペーパー・プロダクツ(APPP、ビクトリア州)とその子会社6社を子会社化。オセアニアでの事業拡大を牽引する。

ペット社会も人間と同様に高齢化が着実に進んでいる。ユニ・チャームは1986年にペットケア事業に参入して30年余の実績を持つ。ペット用の紙おむつやトイレシートなどペットトイレタリー市場でも国内トップの地位を確立する。現在、売上の約12%を占める。

そのペットケア事業でもM&Aをテコに本格的な海外展開に踏み出した。2011年、住友商事傘下の米国ペット用品大手、ハーツ・マウンテン(ニュージャージー州)を子会社化した。ハーツは1926年設立の老舗で、米国のペットオーナーからのブランド認知率は90%に達するという。ノミダニ駆除剤、おやつ、教育・しつけ玩具などでトップに立つ。

米国のペットケア市場は世界の約4割を占めるとされる。ユニ・チャームは吸収体技術を生かしたトイレタリー商品をハーツのブランドとの融合により、米市場に投入している。

主な沿革とM&A
1961 大成化工を設立し、建材の製造・販売を開始
1963 生理用ナプキンの製造・販売を開始
1974 ユニ・チャームに社名変更
1976 東証2部に上場(85年に東証1部)
1981 ベビー用紙おむつの販売を開始
1984 台湾に合弁会社
1987 タイに合弁会社
1993 オランダに合弁会社
1994 韓国に合弁会社
1995 上海に合弁会社
1997 マレーシア、インドネシアに合弁会社
2002 フィリピンに合弁会社
2005 サウジアラビアの衛生用品大手、ガルフ・ハイジェニック・インダストリーズを買収
2006 ベトナムに合弁会社
資生堂から生理用品「センターイン」事業を取得
2008 豪州の紙おむつ大手、APPPを買収
インドに100%出資子会社
2010 エジプトに子会社、ユニ・チャーム・ペットケアを吸収合併
2011 ベトナムの衛生用品メーカーのダイアナを買収
米国のペット用品メーカーのハーツ・マウンテンを買収
2013 ミャンマーの衛生用品メーカー、ミャンマー・ケア・プロダクツを買収
2018 タイの衛生用品メーカーのDSGTを買収

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